三鬼 三島屋変調百物語四之続
著者 著者:宮部 みゆき
三島屋の黒白の間で行われている変わり百物語。語り手の年齢や身分は様々で、彼らは正しいことも過ちもすべてを語り捨てていく。十三歳の少女は亡者の集う家の哀しき顛末を、絶品の弁...
三鬼 三島屋変調百物語四之続
商品説明
三島屋の黒白の間で行われている変わり百物語。語り手の年齢や身分は様々で、彼らは正しいことも過ちもすべてを語り捨てていく。十三歳の少女は亡者の集う家の哀しき顛末を、絶品の弁当屋の店主は夏場に休業する理由を、そして山陰の小藩の元江戸家老は寒村に潜む鬼の秘密を語る。聞き役に従兄の富次郎も加わり、怪異を聞き積んでいく中でおちかにも新たな出逢いと別れがあり―恐ろしいけど面白い三島屋シリーズ第四弾!
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宮部みゆきさんのライフワーク! 『おそろし』から続く三島屋変調百物語 シリーズの文庫最新刊
2019/07/09 13:36
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
今巻ではおちかに新たな出会いと、切ない別れが…。稀代のストーリーテラー宮部みゆきさんの「三島屋」シリーズ待望の文庫最新刊。ぞっとするほど怖いお話のほかに、かわいい憑神の話などバラエティ豊か。出会いはほわり、別れはぽっかり。語り部たちとの別れも色んなパターンが増えました。江戸の袋物屋で行われる「変わり百物語」、今回持ち込まれる怪異譚は?単なる怪談話ではなく、奥深い人間ドラマ。今作も極上の読み心地です。人間の業が描かれた本作は、私に人生の指針を与えてくれます。これから何度も読み返すことになるでしょう。
告白することの重さ
2020/01/22 23:20
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:里 - この投稿者のレビュー一覧を見る
分厚い文庫本があっという間に終わりに近づいていた。宮部さんの創造力にはいつも驚かされ、引き込まれる。やはり心に残るのは表題作の"三鬼"だろうか。怪異の奥底にある生き残るための厳しさ、悲しさが重く、しかししっかりと伝わってくる。
人は、宿命に翻弄される。 もうだめだと、絶望の淵に立たされる。 そんな時。 誰かに話をきいてもらう。 頷いてくれる。 それだけでいいのだ。 人生は、幸せになるためにあるのだから。
2022/08/27 13:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日も三島屋に客が訪れてくる。
だが、買い物のためではない。
黒白の間を訪ねてくる。
だが、主人の囲碁の仲間ではない。
言うに言われぬ話を抱えてやってくる。
語る相手は、主人の姪っ子おちか。
語って語り捨て。聞いて聞き捨て。
それだけが約定である。
「人は語りたがる。己の話を。
だがそれは時に、その人生の一端に染みついて離れぬ何かを他者に見せることにほかならぬ。多くの耳に触れ回りたくはない。しかし一度は口に出して吐き出してしまわねば。その何かを墓の下に持って行くのはどうにも辛い。その何かが、いざとなったら墓石の下に収まらないかもしれぬという不安が胸を塞ぐ。
だから、三島屋の変わり百物語は人を集める」(序 P6)
「あの世から戻ってきた死人は、この旅籠の外に出られないのだ。生きていたときと同じようにふるまうことはできないのだ。
それが、死ぬということなのだ」(第一話 迷いの旅籠 P140)
「人の心は面白いもので、どんな贅沢よりも素朴な温もりが染みることもある」(第二話 食客ひだる神 P257)
「弱い者いじめは世の常だ。上士なら平士へ。金持ちなら貧乏人へ。男なら女へ。大人なら子供へ。
やるせなく煮えたぎるばかりの怒りや、身を腐らせる倦怠をいっとき忘れるために、人は弱い者を打ち、いたぶり、嘲る。
その瞬間に、人でなしに堕ちるのに」(第三話 三鬼 P320)
「鬼は、人から真実を引き出す」(第三話 三鬼 P413)
「この世に、あのときの自分よりも恐ろしいものがいるだろうか。あのような無念よりも、悔しい想いがあるだろうか。あれは自分一人のことではなく、人という生きものは、誰でもああいう想いに囚われてしまう機会があるのか。それが煩悩であり、業というものか」(第四話 おくらさま P440)
人は、宿命に翻弄される。
もうだめだと、絶望の淵に立たされる。
そんな時。
誰かに話をきいてもらう。
頷いてくれる。
それだけでいいのだ。
人生は、幸せになるためにあるのだから。
人は、宿命に翻弄される。 もうだめだと、絶望の淵に立たされる。 そんな時。 誰かに話をきいてもらう。 頷いてくれる。 それだけでいいのだ。 人生は、幸せになるためにあるのだから。
2022/08/26 09:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日も三島屋に客が訪れてくる。
だが、買い物のためではない。
黒白の間を訪ねてくる。
だが、主人の囲碁の仲間ではない。
言うに言われぬ話を抱えてやってくる。
語る相手は、主人の姪っ子おちか。
語って語り捨て。聞いて聞き捨て。
それだけが約定である。
「人は語りたがる。己の話を。
だがそれは時に、その人生の一端に染みついて離れぬ何かを他者に見せることにほかならぬ。多くの耳に触れ回りたくはない。しかし一度は口に出して吐き出してしまわねば。その何かを墓の下に持って行くのはどうにも辛い。その何かが、いざとなったら墓石の下に収まらないかもしれぬという不安が胸を塞ぐ。
だから、三島屋の変わり百物語は人を集める」(序 P6)
「あの世から戻ってきた死人は、この旅籠の外に出られないのだ。生きていたときと同じようにふるまうことはできないのだ。
それが、死ぬということなのだ」(第一話 迷いの旅籠 P140)
「人の心は面白いもので、どんな贅沢よりも素朴な温もりが染みることもある」(第二話 食客ひだる神 P257)
「弱い者いじめは世の常だ。上士なら平士へ。金持ちなら貧乏人へ。男なら女へ。大人なら子供へ。
やるせなく煮えたぎるばかりの怒りや、身を腐らせる倦怠をいっとき忘れるために、人は弱い者を打ち、いたぶり、嘲る。
その瞬間に、人でなしに堕ちるのに」(第三話 三鬼 P320)
「鬼は、人から真実を引き出す」(第三話 三鬼 P413)
「この世に、あのときの自分よりも恐ろしいものがいるだろうか。あのような無念よりも、悔しい想いがあるだろうか。あれは自分一人のことではなく、人という生きものは、誰でもああいう想いに囚われてしまう機会があるのか。それが煩悩であり、業というものか」(第四話 おくらさま P440)
人は、宿命に翻弄される。
もうだめだと、絶望の淵に立たされる。
そんな時。
誰かに話をきいてもらう。
頷いてくれる。
それだけでいいのだ。
人生は、幸せになるためにあるのだから。
ほんとにどれもおもしろい
2021/08/30 23:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
どれもいいけれど、おいしそうなものがたくさん出てくる「ひだるさん」の話が心楽しい。ひつまぶしはもうあったのか。「三鬼」も壮絶ながら、山の上の青い空が目に浮かぶような鮮やかさで、胸に残る。そして青野先生との別れ。いつもよれよれを着ていた人の、真新しい着物。どうなるかわからない人生を生きる。
三鬼
2020/08/22 11:04
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
どの話も面白いものばかりでお化けというよりは人間のごうを感じ、生き方を照らしてくれる作品だと思いました。これ以前の話についても読んでみようと思います。
4話あるそれぞれが長篇並みの量と質
2019/09/14 22:17
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒白の間で客人の話を聞く、三島屋のおちかのシリーズ、4冊目。
収録された4話それぞれが長篇並みの量と質を持つ。
もちろん、シリーズとしての大きな流れがあるから、それも進んでゆく。
続けて登場している人物の少しずつの変化と、大きな変化。
新しく登場する人と、去って行く人と。
一つ一つの話では聞き役ながら、シリーズの主人公といえるおちかも例外ではない。
聞き役としての成長、人間関係の深化。
それにともなってほどけてゆく心。
おちかの心がすっかり解放されたら、この長い物語も終わるのだろうか。
そう考えると、おちかには気の毒だが、もう少しそのままで、とさえ思ってしまう。
まあ、とりあえず、まだ続くぞ、という終わり方なので、一安心。
4話の中では「食客ひだる神」の味わいがいちばんよかった。
姿も見えないひだる神に、ほろりとさせられる。
表題作の「三鬼」は、重くて深くて力作。
なぜ「三」なのか、については、よく行き届いた解説に、ちゃんと書いてある。
巻ノ四
2019/07/24 00:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゆっくりしたシリーズだから、
全部内容を覚えているわけではないけれど、
今回はまた一段と、
変化もあったり、
“らしい”話もあったりと、
読み応えの一冊だった。
おちかがだいぶ成長。
お別れが
2019/07/09 18:03
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
おちかさんに、ある人物との別れが訪れます。
ずっと登場し続ける人だと思ってたので意外でした。
でも、新たな出会いもあったから、今後に期待でしょうか。
外れなし
2021/03/13 23:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はなこさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
4話とも読みごたえがあり、厚みがあるが一気に読んでしまった。特に「食客ひだる神」がいとおしい。前作「あんじゅう」が好きな人は、きっと好きになるはず。
本当に怖いのは物の怪か、それとも生きてる人か・・・
2022/06/03 15:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:.ばっは - この投稿者のレビュー一覧を見る
日経朝刊に連載されたもの。
新聞で読んだ筈なのに、ほぼ覚えていなかったから改めて興味深く読むことができた。
一つ一つの話も長いけれど、話の区切りが見つからず、
ついつい一気読みしてしまうので他の案件が手につかない(苦笑)。
今巻で改めて不思議に思ったことは消失と出現。
「三鬼」の正体もさることながら話の最後で突然、出現した物。
「おくらさま」で語り手が消えてから残された着物もいつの間にか、なくなっている。
まぁこの世の常識が通じない話だと思えばよいのだろうな。
怖ろしきは人のこころ
2021/03/04 19:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うみしま - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島屋シリーズ第4弾は、一段と重厚な物語が多く、時として胸がつまる話もあります。これまで、おちかは、やってくるお客様を迎えるという受け身で、あまり自分から踏み込むようなところは見られず、傾聴という部分が多く占めていたと思います。しかし、前3作によって成長してきたことが本作で、明らかになります。そのことは、我々読者もおちかと共に成長し、考えも深まってきたという作者宮部さんの願いもあるのではないかと思いました。「迷いの旅籠」では、死者を呼び戻したい者たちの、狂おしいまでの想いが描かれています。この世に戻ってきた死者が怖ろしいのではなく、執着という人のこころが怖ろしいということを考えさせられました。また、タイトルの「三鬼」に込められているのも、理不尽な環境が作り出した因習も所詮は人のこころが生み出したものであることを示唆されているように感じました。今後のおちかの成長を見守りたいと思うと同時に、自らも物語を読むことで考えが深まっていくことを願っています。
時代物が面白い
2020/01/04 12:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:HIRO - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部さんの小説は推理小説と時代物を交互に読むのが大好き。
より深みを増す1作
2019/12/29 18:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とりこま - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ4作目はいつもの語られ方だけではなく、従兄が聞き手に加わったり、黒白の間で不思議なことが起きたり、ストーリー自体が面白いだけでなく趣向が工夫されていて、より楽しめる。
江戸時代ならではの理不尽さの中で懸命に生きる、抗う人々の姿に心打たれる。
夏の物語
2019/07/25 08:26
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
少し怖くて夏にピッタリの話でした
怖さの中に、人と人の人情や、自分の生き方 考え方を振り返る切っ掛けになるようなストーリー展開が宮部みゆきさんながらの小説の醍醐味を満喫しました