NHK 100分 de 名著 みんなのレビュー
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新約聖書福音書 言葉の奥にあるコトバ
2024/09/04 18:03
聖書が親しみやすくなりました
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投稿者:シュウハオ - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビ番組とテキストを合わせてみることで、堅い、難しいというイメージがあった聖書が親しみやすくなりました。有名なエピソードは何を伝えようとしていたのかを丁寧に解き明かしてくれています。番組とテキストで内容が異なる部分があるので両方見る方がより理解しやすいです。

ローティ『偶然性・アイロニー・連帯』 「会話」を守る
2024/08/16 18:18
テレビは見逃したけれど。
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投稿者:ポアロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらず混沌としている日本社会。
太平洋戦争の悲惨さをあれだけ勉強したはずなのに、また国際社会の争いに巻き込まれそうなこの時代に、自分の頭で考え、生活することの大切さを再確認できる本。ローティーの考えに励まされたり、生きるヒントをもらう人もいるだろう。
テレビで見るための本なのに、時間間違えて見れずじまい。残念。

トーマス・マン『魔の山』 世界文学の「最高峰」に挑む
2024/06/11 23:51
『魔の山』登攀のための得難い一冊
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を読んで、ひとつの読み方としての同書の深い含意を、その執筆経緯や変遷(例えば56~57頁を参照)と併せて、実によく理解できました。間違いなく良書かと。(それにしても、50~51頁に引用されている生命の定義は、福岡ハカセのいう「動的平衡」そのものではないか。)
「この療養所は、表向きは豪奢な空間でありながら、そこに病と死が蔓延する「魔の山」です。十九世紀末から第一次世界大戦前のヨーロッパ社会の行き詰まりを表しています。」(23頁)
「ハンス・カストルプがドイツを代表することが、その名前に表れています。」(55頁)
「ヨーアヒムの死は、生への奉仕を実践しなかった主人公の身代わりと読めるでしょう。」(89頁。だからこそ、カストルプはヨーアヒムの心霊像を見て、「すまない」(新潮文庫版の下巻715頁)と詫び、覚醒して下山し、戦地へと赴いたのであろう。)
「主人公は愛国心にかられて「魔の山」を下りたのではなく、かつてのツァラトゥストラやイエス・キリストのように、「愛と未来の新しい言葉」を求め始めて「魔の山」を下りたのです。」(98頁。そして、この点は69頁や80頁の引用部分と呼応しているということであろう。)
本書のみを読んでも『魔の山』の理解はできそうですが、評者としては一度呻吟しながらも同書を読み終えていたので、その経験の分、本書の内容も心に沁みるものがあり、大変腑に落ちました。ありがたやありがたや。

フロイト『夢判断』 自分とは何者なのか
2024/04/23 02:08
すべて理解できたわけではないが、取り組み甲斐のあった内容でした
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
大平健編訳の『新編 夢判断』を並行して読みつつ、本書で勉強させてもらいました。昨日の番組最終回の時点では第5章の途中でしたが、実によい知的鍛錬となりました。大変よいテキストと番組をありがとうございました。
「授乳の経験を通して、子どもの身体には、単に「空腹が満たされる」という満足を超えた「唇や口腔の快楽」が派生し、その結果として口唇領域の性愛化が生じます。端的に言えば、唇が性感帯になるということです。この性愛化は、口元の表情や声の抑揚、さらには咳払いに至るまで、おおよそ口唇領域が行う人間的表現-感情表現やコミュニケーション-を可能にしていきます。何かをおいしいと思って食べることや、その食感を楽しむようになることも、口唇領域の性愛化の効果と言ってよいでしょう。」(69頁)
「自我が成長していけば、快の再現を至上命題とする一次過程は、社会生活によって課せられる諸制約にぶつかり、禁止されたり、自ずから断念されたりします。そのときに一次過程を停止させる働きをするのが、願望=「快の再現の追求」を無意識へと追いやる抑圧なのです。」(91頁)
「「夢」から出発して、自分の願望に辿り着く方法を教えるのが、フロイトの『夢判断』なのです。」(109頁)
さてさて、原テキストに引き続き取り組んで、ぜひ読了せねば!

ハイデガー『存在と時間』 二十世紀最大の哲学書
2024/04/13 12:36
ハイデガー入門
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投稿者:あんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハイデガーの略歴からはじまり、『存在と時間』に出てくる概念を具体例を交えながらやさしく解説してくれている。

forユース 言葉は背中を押してくれる
2024/03/29 01:18
第4回(文月悠光さん担当)は、評者的にはけっこう神回でした。
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
評者のイチ推しは、レビュータイトルの通り。同郷の文月悠光さん(本買ってますよ!)をゲスト・スピーカーとして、石垣りんの作品が心に染み入るとともに、「詩を書く」ことの意味ないし効用について、なるほどと感じ入りました。(番組も繰り返し視聴しました。)今後は、茨木のり子さんも取り上げてほしいなと。

司馬遼太郎『覇王の家』 “人間・家康”を読む
2024/01/10 19:49
作者目線を感じた
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投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
司馬遼太郎さんの「覇王の家」は若い頃に読んだが、今回の書で作者目線からの内容に触れられた。このようにしてみると、すべての作品をもう一度よみたくなる。

アリストテレス『ニコマコス倫理学』 人生の究極目的を問う アンコール放送
2024/01/05 17:21
理解が進む
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投稿者:バベル - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回のアリストテレスのニコマコス倫理学に限らずだが、100分de名著は、放送大学のように、テレビとテキストを併用することで理解が進み、さらなる興味が持てることで、世界が広がる。

神谷美恵子『生きがいについて』 いのちを点す「義務」がある
2023/10/29 21:34
わかりやすい解説
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投稿者:kunkun - この投稿者のレビュー一覧を見る
神谷美恵子さんの本はよく読むのですが、難しい面も多く、この本を読んで理解が深まりました。このシリーズの解説はどれもわかりやすいです。

シャーロック・ホームズスペシャル 歴代最強の名探偵
2023/10/07 21:48
人間性探求の名探偵ホームズ
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投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
TVアニメ『アンデッドガール・マーダーファルス』第二章「ダイヤ争奪編」で登場したホームズ&ワトソン。ルパン&ファントムと宿敵モリアーティ教授率いる「夜宴」とのバトルで活躍した。ちょうど第三章「人狼編」が始まる前に、100分de名著シリーズでシャーロック・ホームズスペシャルが放映され、読んで観た。
また、折しもNHKではジェレミー・ブレット主演のテレビ・ドラマが再放送されているし、第3作製作も予定されている、「アイアンマン」ロバート・ダウニー・Jr主演の映画『シャーロック・ホームズ』(2009)と続編『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』(2011)も見た。原作にほぼ忠実なNHKドラマ、原作のキャラクターとプロットを使って創作された新たなアクション映画(ワトソン役ジュード・ロウも派手に活躍)、そしてジェレミー・ブレットを彷彿とさせるキャラ設定と語り口の『アンデッド』と、三者三様のホームズを見たことになる。
ホームズ&ワトソン・シリーズは、確かに読んで楽しめる作品ではある。しかし「小説」として「名著」と言われると、なぜなのか、という疑問が湧いてしまう。その疑問に答えるのが、今回のスペシャルである。英文学とイギリス小説の研究者で、『ミステリーの人間学-英国古典探偵小説を読む』も上梓している著者・講師は、代表作を読みながら、その疑問に答えていく。
ホームズ・シリーズは、「探偵小説」であり「ミステリー」である。「探偵小説」は、秘密・謎・不可解なものであるミステリー的要素を高度に発達させてジャンルである。多かれ少なかれ文学作品にはミステリー的要素があるのだが、探偵小説は「謎解きに対する読者の好奇心と知的欲求を掻き立てる効果を集中的に狙った知的な遊び」である。しかし単に謎解きのゲームではなく、底辺では文学とつながっている。そして小説とは人間を描くものであり、探偵小説は探偵の登場によって人間の悪・罪を徹底的に、しかも理路整然と暴き、人間の弱点や人間性の暗部を探求する文学ジャンルである。
ホームズは冷徹な推理能力だけの探偵ではない。人生の機微を知り抜き、人間性の底に潜む闇と光を鋭くあぶり出す思考能力を持つ。まさに「人間学」の精華ともいうべき洞察だ。
筆者による各国の探偵小説の特色の整理が面白い。アメリカは人間を非感傷的に扱う、純粋に数学的・論理的に分析し、人間性に対する関心は希薄である。フランスは犯罪を取り巻く人間ドラマでメロドラマ的傾向がある。そして英国探偵小説は、人間性の探求が底流にある、事件の筋や謎解き、トリックといった表面的な部分に隠された、人間が抱く欲望や怒り、恐怖といったものが人間に及ぼす心理状態や行動の側面を探求していく。動機面を重視するミス・マープル、容疑者たちとの尋問や何気ない会話に力点を置き、会話から人物の思考・行動傾向を探る心理分析を駆使するポアロも同じである。
このような人間性の闇に根差す犯罪は無くなることはなく、何時かは自分も巻き込まれるかもしれないという恐怖・不安を、名探偵が解決してくれ、それらを昇華してくれるというところが探偵小説の魅力なのだ。現実世界で死に直面しているようなところでは、「探偵小説」を読む気は起きないだろう。したがって、殺人を扱う探偵小説は、平和な時代の下で読まれるという逆説的な文学である。
このような人間性探求に根差した名探偵ホームズは、トリックがわかったら終わりではなく、人間性の探求の部分は何度でも味わえる物語である。そのため、映画でリメイクされ、また、別の物語に登場しても違和感はないのだろう。

シャーロック・ホームズスペシャル 歴代最強の名探偵
2023/09/29 21:51
ホームズ物をより広いパースペクティブで捉えることができ有益
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投稿者:Haserumio - この投稿者のレビュー一覧を見る
単に娯楽作品として読むのはやはりもったいなく、ホームズ物への向き合い方を変えてくれた番組とこの一冊。これらに触発されて、現在、ホームズ物の完読トライ中です。
「ジャンルとしての探偵小説は、職業としての「探偵」が歴史上に誕生した時代に初めて成立したと私は考えています。・・・ 文学作品に探偵という存在を導入することによって、人間の悪の秘密を白日の下に晒し、その罪を徹底的に、しかも理路整然と暴くことができるようになります。ですから探偵小説とは、人間の弱点や人間性の暗部を探究するうえで、格好の文学ジャンルなのです。」(90~1頁)
しかし、改めてホームズ物を読み返すと、探偵と助手の協働と掛け合い、Who-done-it(意外な犯人)/How-done-it(犯行のトリック)、Why-done-it(人間性の奥底に潜む動機)が三位一体となっており、探偵小説の初期完成形態であることがよく理解できた。正に傑作群かと。

シャーロック・ホームズスペシャル 歴代最強の名探偵
2023/09/19 08:43
はじめて
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投稿者:にゃんぱり - この投稿者のレビュー一覧を見る
はじめて,番組と並行してテキストを読みました。
番組では取り上げられていない話もあって面白かったです。
この番組のおかげで中学生の時以来40年ぶりに「緋色の研究」を
読みました。
当時は大作だと思っていましたが,あっという間に読んでしまいました。
でもドキドキするほど面白かったです。
ありがとうございました。
番組と並行して利用することをおすすめします。

シャーロック・ホームズスペシャル 歴代最強の名探偵
2023/09/15 11:36
「シャーロック・ホームズ」を異なる視点で、楽しむ!
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投稿者:野間丸男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
NHKの「100分 de 名著」という番組のテキストであるが、
「シャーロック・ホームズ」の解説書の一つとして、楽しめる。
(はじめに)世界一有名な探偵、シャーロック・ホームズ
(第1回)名探偵の誕生
(第2回)事件の表層と真相
(第3回)ホームズと女性
(第4回)人間性の闇と光
「緋色の研究」、「赤毛組合」、「唇のねじれた男」、「ボヘミアの醜聞」、「ボール箱」、「ボスコム谷の謎」などが取り上げられるが、
さまざまな角度から、ホームズの探偵像を解説してくれる。
「探偵小説は平和だからこそ楽しめる」の言葉が、心に残る。

アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』 声を記録する
2023/09/04 06:29
耳を傾けるとき
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
圧倒的な暴力の前に黙殺されてきた、女性たちの叫び声が胸にささります。無力感に打ちのめされながらも、言葉の力を信じたいです。

司馬遼太郎『覇王の家』 “人間・家康”を読む
2023/08/26 00:42
さすがは同業者、スルドイ
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投稿者:和田呂宋兵衛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
放映中の大河ドラマに、司馬さんの生誕百年をひっかければ、この作品か・・・。
ベタになりそうな企画だが、語り手の人選が面白い。
なにしろ国民的小説家の作品だし、ご自身も同じ人物の長編を執筆中だし、下手な批評はできない。
これを受けた安部さんの勇気に敬意を表する。
司馬文学の特徴として、安部さんは「キャラクターの決めつけ」を挙げる。
そういえば・・・
「竜馬がゆく」では、藩のメンツにこだわる薩長を、いろんな手を使って結びつけようとする、
「自由な発想の、商売の分かる」坂本竜馬。
「燃えよ剣」では、立身出世にこだわり、最後は官軍に捕まって首を切られる近藤勇と、
新選組を強くすることに専念し、五稜郭で華々しく散る土方歳三。
「坂の上の雲」では、ガタの来た皇帝専制のロシアと、ナショナリズムに目覚めたばかりの立憲国家・日本。
「人格者だが愚将」の乃木希典を支える、旧友児玉源太郎の智略。
確かに、司馬さんのベストセラーには、「キャラクターの決めつけ」による単純化が多い。
良い意味での通俗性であり、多くのファンを引き付けた秘訣だろう。
しかしながら司馬さんも、家康の「キャラクターの決めつけ」には苦労したようで、
安部さんの見立てでは、「三河かたぎ」をキャラクターに設定し、
三河人の律義さと家臣団の絆の固さに注目しながら、家康という人間が描かれていく。
物語のクライマックス、小牧・長久手の戦いのくだりでは、
慎重に事を運びながら精密に情報を収集し、ここぞという所で思い切って勝負をかける家康が活写される。
ここでは、司馬さんの軍隊経験から、無能で無謀だった日本軍幹部を思い浮かべながら、
こんな将軍が日本にいたら・・・という願いが反映されていると安部さんは説く。
家康の側近、石川数正が、有能すぎるがゆえに三河家臣団の中で浮いてしまい、秀吉方に走る経緯が、
その後の江戸幕府、ひいては日本社会の閉鎖性を示すという安部さんの見方には同感できる。
第4回分では、坂口安吾など戦後無頼派の司馬文学への影響、
本作はイデオロギーを拒絶するポストモダニズムの試みではなかったか等、
初めて聞く話が語られる。
難解な所もあるが、心に留めておきたい。