ぷちこさんのレビュー一覧
投稿者:ぷちこ
文豪ストレイドッグス 1 太宰治の入社試験
2021/03/29 11:17
太宰と国木田の初任務
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太宰治が武装探偵社に入社し、先輩の国木田独歩と任務につき、事件を解決する話。・・それは表向きで、タイトルにもあるように太宰には極秘で、太宰に探偵社員の資格があるかを見極めるために事件捜査と同時進行で入社試験が行われます。
全体を通して、国木田目線で話が進んでいきます。国木田が太宰をどう思っているのか、国木田の理想とはなんなのか、国木田が配偶者の女性に求める条件とは?
捜査する事件そのものは途中でポートマフィアが関わってきたりと不穏感満載ですが、間に挟まれる太宰と国木田のやりとりがすでに出来上がっていて最高です。
この話は前日譚として、単品でも読めますが、本編のギルド戦と繋がるところがあるので、ギルド戦の前に読むのがオススメです。
アスク・ミー・ホワイ
2021/08/13 18:18
暗く重いテーマに反して、爽やかな読後感。
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LGBT・薬物・スキャンダルと、社会的なテーマばかりを扱っているので、暗く重い話なのかと思い、読み始めました。
ですが、一人称の文体のためか、読みやすく、あっという間に読み終わっていました。
LGBT・薬物・スキャンダルについて、キャラクターたちがそれぞれ考えを述べるシーンがあるのですが、押し付けや共感を求めてくる感じではなく、あくまでも自分たちの生き方の一つとして語られているので(色々な意見をお持ちの方がいらっしゃるとは思いますが)、自分は爽やかな読後感でした。
表紙と裏表紙には作中のワンシーンが描かれています。読む前は、社会的なテーマを扱った作品には合わない表紙なのではないかと思っていたのですが、今はとても気に入っています。挿し絵みたいで、素敵でした。もし、文庫化して、挿し絵を入れるようであれば、同じ方に描いて頂きたいです。
ただ、作中に男同士の性描写が何度かありました。自分は爽やかな文体なこともあって、性描写の表現も素敵に感じましたし、この作品には必要なシーンだと感じましたが、苦手な方はご注意ください。
女吸血鬼カーミラ
2021/06/24 23:26
美しい少女たちの幻想的な関係。
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父と大きな城で暮らすローラ(わたし)の視点で、美しき吸血鬼カーミラとの物語は進んでいきます。
ある日、美しき吸血鬼カーミラが乗る馬車がローラの城の近くで事故を起こします。城に滞在することになったカーミラに、ローラは魅了され、友情を育んでいきます。しかし、城の近くの村で、若く美しい女性が何人も不審死を遂げます。疫病かと恐れる村人たち。ローラも不調を訴え始めます・・・。
この作品は、ブラム・ストーカーの『吸血鬼ドラキュラ』に大きな影響を与えたことで有名ですが、それと同じぐらい、百合小説としても有名です。ローラとカーミラの友情は、友情を越えた恋愛関係のように見えますし、実際にキスをしたり、独占欲を丸出しにしたセリフを互いに吐くシーンもあります。美しい少女2人が愛を囁く姿は、幻想的で、甘美的です。しかし、あとがきによれば、作者は「カーミラは吸血鬼なので、性別はない。」と述べていたそうなので、作者としては百合小説を書いたつもりはないそうです(百合小説として、紹介されてしまっていますが・・・)。なので、百合小説としてではなく、幻想的な吸血鬼小説として、ぜひ読んでいただきたいです。
空への助走 福蜂工業高校運動部
2021/06/03 11:49
高校三年間にかける、それぞれの青春
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『2.43』シリーズを読んでから、読みました。『2.43』シリーズのスピンオフということですが、こちらの作品単体でも十分楽しめます。
「強者の同盟」
福蜂工業高校バレー部のエースを狙う高杉、尋慶女子高校テニス部エースの美人で勝気な赤緒。小柄で地味だが躍動感あるスポーツ写真を撮るはっち。中学時代に強者の同盟を結んだ高杉と赤緒、その二人の写真を撮ってきたはっちの友情以上恋愛未満の話。
「空への助走」
明日岡高校陸上部を引退した涼佳。小学生の頃より太っており、ブブ佳とからかわれていた。そんな涼佳を助けてくれた元陸上部の拓海先輩に淡い恋心を抱いていたが、突然後輩の柳町に告白される。東京の大学に通う拓海先輩を想う涼佳であったが、走り高跳びに打ち込む柳町の成長を見つめるうちに、心が惹かれていく。
「途中下車の海」
新人戦を控えたある日、顧問のシャークと衝突した、福蜂工業高校柔道部主将の長谷。生まれて初めて稽古をサボり向かった海で、クラスメイトの平政と出会い、半ば強制的に釣り部へ入部させられる。平政と並んで釣りをしているうちに、長谷は長年続けてきた柔道への思い、ライバル校である鷺南高校で柔道部顧問をする父親への葛藤を吐露していく。
「桜のエール」
春になり、高校生活最後の試合に向け、部活の垣根を越えてエールを送りあう福蜂工業高校の面々。そして、そんな彼らにカメラを向ける福蜂工業高校の映画研究会。高校三年間の思いを胸に、各部の主将に率いられ、彼らは最後の試合に挑む・・・。
個人的に一番面白かったのは、「強者の同盟」でした。部のエースであり、クラスでもカースト上位にいる赤緒が、同じ強者である高杉に向けて放った「梓の仲間は強い子ぉらだけでいい。負け組は梓に釣りあわん」というセリフに強者のプライドと、部活へかける思いの強さが垣間見え、痺れました。
また、「2.43」シリーズを読んだ後に読んだため、「桜のエール」での福蜂バレー部のやり取りには、うるっとくるものがありました。
「2.43」シリーズでは、高杉以外にも個性豊かな福蜂バレー部のメンバーが出ているので、他のスピンオフも読んでみたいです。
シャーロック・ホームズ全集 2 四つのサイン
2021/04/29 23:10
目が離せない!シャーロック・ホームズの追跡劇!
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シャーロック・ホームズの元に、上品な若い婦人が依頼を持ち込んだところから物語は始まります。
若い婦人の依頼を解決するため、婦人に届いた謎の招待状の招待主に会ったホームズとワトスンですが、その先で殺人事件に巻き込まれてしまいます。
持ち前の頭脳で犯行のトリックを暴いたホームズは、ワトスンを連れて、犯人の追跡を開始します。ですが、思ったように追跡は進みません・・・。
なんとしても犯人を追い詰めようとするホームズの執念、そして追い詰められた犯人の抵抗は凄まじく、追跡劇から目が離せません。
今回の作品は、トリックもさることながら、追跡劇がとても面白いです。
あと、ワトスンが依頼主の女性に惹かれていくシーンは、とても自然で、追跡劇の疾走感を邪魔することなく、そっと添えられていて、微笑ましいです。
文豪ストレイドッグスDEAD APPLE
2021/04/22 11:40
ノベライズ版にも映画の疾走感があります
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同タイトルの映画のノベライズ版です。
映画を視聴後に補足として読みました。
ときどき、バトル物の映画のノベライズを読むと映画のようなバトルの迫力や疾走感がないものがありますが、そういったことはなく、ノベライズ版だけでも十分に楽しめました。
また、映画で中也が叫ぶシーンがあるのですが、その時に「太宰」と言ったのか?それともたまたま太宰に聞こえただけなのか?と双黒ファンの間で囁かれていたのですが、そのシーンも収録されているので、中也が何と言ったのか分かります。気になっている方は、ぜひ確認してみてください。
その他にも、映画版とノベライズ版はセリフに少し違いがあるので、確認してみると面白いかもしれません。
あと、巻頭に両面カラー印刷のピンナップが付いています。
シャーロック・ホームズ全集 1 緋色の習作
2021/04/22 11:14
ホームズとワトスンの最初の事件
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シャーロック・ホームズの活躍を読みたく、どの翻訳がオススメなのか調べたところ、こちらの全集が多くのサイトで高評価で紹介されていたので、読みました。
翻訳作品にありがちな「日本語にしたために文法に違和感がある・・・。」といったこともなく、最後までスラスラと読めました。注釈も巻末にまとめられていたので、本文の邪魔になりませんでした。また、巻末の解説も豊富で、シャーロック・ホームズ初心者の私にはとてもためになりましたが、文庫化する際に頁数が大幅に減らされてしまったようなので、解説目当てで買われる方は文庫化前の単行本サイズで買われることをおすすめします。
内容に関しては、謎はもちろんですが、犯人が特定された後も面白かったです。
よくあるパターンですと、犯人が犯行理由を独白する形になりますが、緋色の習作では、犯人が犯行に至るまでの半生が一つの物語として作者の手により執筆されていました。その間、ホームズやワトスンは出てきませんが、犯人の犯行に至るまでの半生はとてもスリリングで、息を飲むばかりでした。
2.43 清陰高校男子バレー部 1
2021/04/20 10:13
心理描写が丁寧
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アニメを見て、原作小説を購入しました。
アニメでは、主人公の黒羽と灰島メインで話が進んでいきました。が、小説は途中で他のキャラクターたちの目線に変わり、彼らから見た黒羽や灰島、バレーとは何か?が語られていきます。
今回の上巻では、女子バレー部の末森目線とバレー部の主将の小田目線の話があり、2人のキャラクター像を詳しく知ることができました。特に、女子バレー部の末森はアニメでは空気だったので、女子から見たバレーボールはどういうものなのかを知れたのは良かったです。
あと、物語が中2の途中から始まるというのもスポーツ作品としては珍しく、新鮮に感じました。メインとなる話は高校に入ってからのようですが、中学生部分があるおかげで、より彼らの葛藤を知ることができ、感情移入して、読むことができました。
何よりも主人公の黒羽が「普通」なのがいいです。周りから見れば高身長で才能があるのに、本人は気づいていなく、あがり症で、楽な方にいきがち・・・。スポーツ作品にあるあるな自信家な主人公ではなく、まさに等身大の高校生(中学生)で、共感できます。
下巻を読むのも楽しみです。
へそ天にゃんこ 1 見るだけで幸せににゃる♥
2021/04/20 09:55
にゃんこのフワフワお腹がたくさん!
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「へそ天にゃんこ」とは、「ねこが天井にお腹を見せて寝ている格好」のこと。人間で言うところの、「仰向け」なんですが、普段うつ伏せで寝る猫が仰向けで寝るということは、敵がいなく、安心しきっている証と言われています。
そんな安心しきった、幸せな寝姿ばかりを集めた猫写真集となっています。
猫の種類に限定はなく、様々な種類(模様)の猫がいます。子猫から成猫までおり、同じへそ天でも、腕を伸ばして万歳していたり、手をオバケみたいにクネクネさせていたり、猫の性格が出ています。
癒されること間違いなし!
ちなみに、一般公募の猫の写真からなる写真集です。知り合いの猫がいたりして・・・。
テニスの王子様 1 越前リョーマ
2021/03/29 11:58
圧倒的天才の主人公(1年ルーキー)
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アニメから入りましたが、漫画も面白いです。この頃は、スゴ技連発ではなく、まだ中学生のテニスの範囲ですね。それでも、中学生にしては強く設定されていると思いますが。
他の方も書かれていますが、主人公が抜きんでて強いです。主人公が、強い設定の選手や先輩を打ち負かすシーンは痛快ではありますが、ちょっと強すぎかな?試合のシーンばかりで、練習シーンや主人公が負けそうになるシーンがないので、余計に最初からただただ強い主人公のイメージが先行してしまいますね。
あと態度が悪いオラオラ系のテニス選手が多すぎる。血気盛んな男子テニスだとしても、テニスのイメージ怖くなりますよ?
最強主人公が好きな痛快スポーツ漫画が好きな方にはオススメ。
弱い主人公が努力でスタメンを勝ち取っていく努力のスポーツ漫画が好きな方にはオススメできません。
文豪ストレイドッグス 3 探偵社設立秘話
2021/03/29 11:42
名探偵・江戸川乱歩誕生の物語!
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今までなかなか語られることがなかった福沢さん目線で物語は進んでいきます。
乱歩と出会ったばかりの頃の福沢さんは、まだ乱歩の天才的な頭脳に気づいていないので、乱歩の子供っぽい無神経な態度に苛立ってばかり。
それに対する乱歩の人を小バカにした返答は、さらに福沢さんを苛立たせます。乱歩も乱歩で、最初から福沢さんを尊敬していたわけではなく、福沢さんを面倒な大人の一人としか思っていなかったのです。
それが事件の中で起きた「あること」がきっかけとなり、福沢を尊敬するようになっていき、事件を解決しようという思いが芽生えてきます。
敦たちが所属し、数々の難事件に挑み、多くの人を救うことになる武装探偵の設立の「きっかけ」がすべて詰まった見逃せない物語です。
また、冒頭には敦くんの入社試験の話し合い、配役決定についての短編が収録されています。
あのニセ爆弾の出所には思わず、苦笑してしまいます。
また、同じ夢を見ていた
2021/03/25 17:33
誰もがある「やり直したいこと」
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語り手である「私」と、南さんとアバズレさんとおばあちゃんと彼女(猫)が出会い、未来へと歩んでいく物語。
小学生の「私」は、ちょっと偉そうです。その偉そうは頭がよく、正義感の強いところからきています。クラスメイトからは疎まれていますが、「私」は大人にはない正しさを持っています。
「私」は放課後、彼女(猫)を連れて、南さんやアバズレさんやおばあちゃんに会いに行きます。その中で「私」は、彼女たちの「やり直したい」後悔に触れていきます。
彼女たちの「やり直したい」後悔とはなんなのか?
「私」は彼女たちの後悔に触れ、どのような未来へと歩んでいくのか?
「私」と彼女たちの交友の行き着く先に注目して、ご覧下さい。
孤島の鬼 第1巻 (ARIA)
2021/02/28 11:08
孤島の鬼の入門書として、どうぞ
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全3巻を読んでの感想です。
江戸川乱歩の原作は読破済みです。
一部を除き(以下記述)原作の世界観を再現できていたと思います。
ただ、現代の表現の規制に引っ掛かったのでしょうか?何点か原作との相違がありました。話が破綻しないように補われていましたが、最大の謎となる部分も現代用(?)に書き換えがされていたのが、残念でした。あの部分を書き換えなくてはいけないなら、漫画化する意味があったのかな?と原作ファンとしては思ってしまいました。
なので、漫画はあくまでも入門書として読んで、原作で正しい物語を知ってほしいです。
それ以外は絵も素敵だったので、満足です。
烏に単は似合わない
2021/02/28 10:54
独創的な設定
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人に変身できる烏の一族という、独創的な設定に惹かれて、読みました。
后の座を争う中で起こる事件とありますが、事件は最後まで解決されず、放置の状態で話は進んでいきます。后の座を競ってはいますが、恋愛要素はほぼなし。最後の最後になって、すべての謎(伏線)が回収されます。
なので、読んでいる途中でモヤッと感じるところもありました。回りくどいです。
ですが、1巻は全体を通しての序章のようなもので、2巻から主人公を新たにしてスタートするので、2・3巻と読んでから判断してほしいです。独創的で、緻密な設定なので、巻を経るごとに設定が濃厚になって、面白くなっていきます。
吸血鬼ドラキュラ
2021/08/04 23:38
吸血鬼小説といえば、これ!
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レ・ファニュの『女吸血鬼カーミラ』に影響を受け、描かれた作品ということで、『女吸血鬼カーミラ』を先に読んでから、本作を読みました。
タイトルにもあるように、吸血鬼であるドラキュラ伯爵の話です。が、さまざまな登場人物による日記形式で話が進んでいくので、
ドラキュラ伯爵の日記(視点)は出てきません。そのため、彼の行動や心情は、すべて日記の書き手であるキャラクターたちの想像によるものになります。
また、男の吸血鬼になりますが、『女吸血鬼カーミラ』のようなレズっぽさならぬ、ホモっぽさは出てきません。怪奇色が強めになっています。
物語は、弁護士であるジョナサン・ハーカーがヨーロッパの辺境トランシルヴァニアにあるドラキュラ伯爵の元を仕事で訪れたことから始まります。
ジョナサンはドラキュラ伯爵に知らないうちに城に閉じ込められ、自由を奪われてしまいます。脱出を試みるジョナサンですが、その途中でドラキュラ伯爵が吸血鬼であることを知ってしまいます。
そして、ジョナサンとその仲間たちによるドラキュラ伯爵退治が始まります。
ーーーとは言え、ジョナサンたちとドラキュラ伯爵が対峙するのは、後半になるので、冒頭から人間と吸血鬼の壮絶な戦いを期待されて読まれた方は肩透かしをくらってしまうかもしれません。前半はドラキュラ伯爵について、彼の習性や恐ろしさが長々と語られます。それにより、ドラキュラ伯爵の恐ろしさがよく分かり、世界観を濃厚なものとしてくれるのですが、自分自身も「面白いけど、伯爵退治にいくまでが、ちょっと長いかも・・・。」と思ってしまいました。
読まれる際は、どっしりと構えてから読まれることをオススメします。