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R6-10-20  10月句会レポート 選句と鑑賞

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日々の感動を自由なリズムで詠み投句しよう

 

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肩肘張らない愉快な句会です。

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2024年10月20日    10月句会 全36句

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  1 月が欠けてくれてうれしい

  2 秋の夜風の中でローファーが早足

  3 一人ずつ影を押し付けて消えて行く

  4 ゆっくり網掛けてセミ逃げた

  5 朝掃除終え本読むひまだなァー

  6 ジャズバーにお客来てジャズタイム終わり

  7 散歩でポッと出た句忘れた

  8 ゆく秋にみんな知らない人ばかり

  9 老いを知る季節ハンカチにイーブイの笑み

10 車イス講習重ね重さ知る

11 ゴルフ場へ向かう車明かり

12 暮れなずむ街角打ち酒二合ほど

13 言いかけて止めた車内放送景色変わらず

14 夜の川光るとき音

15 これから分かり合おうとする顔達がある

16 生きる事スイカの種の一つに問う

17 をんなに甘えてばかりで僕は壊れた蛇口

18 コメント欄は安の河原に集う神々

19 どこまでもどこまでもやけっぱちしかない朝日だ

20 渡らなかった橋の向こうに立つ女

21 放火した娘はなにかを消すのかな

22 カツラ被って微笑んでるジャズマンLPの中

23 浴槽に僕のための波間

24 ゆく船の岬に近づくころに波

25 14100年先にははて差別はないかな

26 月明かり捨て猫四匹まだここにいる

27 ビンの口固まった甘酒指でなめる 

28 身体の裏側まで見るにぎやかな沈黙

29 腹太鼓で下界の空気を揺らす

30 神無月の寄せ引く波よ私を洗え

31 飲み込んだ言葉が骨の中で傷む

32 女客月大きくしてかえりみち

33 苦笑い時給アップも物価にまける

34 灯明ほあかりの湖底の宮へ迷い込む影

35 ジグザグに歩いた真っ直ぐな道

36 幼い頃見ていた 青空から落ちる夢



○印は各選者の特選句

 

一人ずつ影を押し付けて消えて行く   日和呂

 人美・弥生・秋海棠・貞徳 選

・紅い朱印をしっかり押して死亡と住民台帳(秋海棠)

・誰かが去り又生まれ変わりの誰かが継続させてゆく。この世の中、会とか組織はそんなもんだ。

そういった事が歴史と言うものなのか。私もその歴史の中にいる(人美)

・意味が深そうな不気味さを感じます。もしかしてネットの世界のことかしら(貞徳)

 

生きる事スイカの種の一つに問う    日和呂

 弥生・人美・曉波・貞徳 選

・生きると言うのを、あまねく宗教者や哲学者が追求してきた。

生きることや生活に必死で、そんな高邁な事考える余裕もなく、人生の終盤を迎へる。

私は自由で楽しく例えアル中と言われても、酒を飲み生きてりゃいいさ(人美)

・ここからがスタート。答えは無限(貞徳)

 

ゆく秋にみんな知らない人ばかり   人美

 弥生日和呂・貞徳 選

・寂しい情景です。みんな知らない人ばかりと言う言葉が突き刺さりますが、なお頭にゆく秋にと入れられると、人生の秋の孤独がしみじみと伝わります(日和呂)

・寂し行く秋です。でも新しい出会いがあります(貞徳)

 

暮れなずむ街角打ち酒二合ほど   人美

 立日十・曉波・貞徳 選

・駅前や商店街にはこんな立ち飲み酒屋があった。JR大阪駅の地下街に、会社帰りの人が飲んでいたのを思い出す。緊張緩和・気力回復、ホッとする時間であったろう。角打ちの酒は二合ほどがちょうど良い、らしい。

「角」は街角と角打ちの両方にかかるのか、街と角の間に一字空きを取るように読むのか、両方いけるようにも思う(立日十)

・暮れなずむ時間に呑むのが最高です(貞徳)

 

夜の川光るとき音   白桃丸

 立日十・曉波・貞徳 選

・車や雑踏の音が一瞬止み川の音だけがかすかに聞こえる。

川面が月かネオンの反射でうっすらと光っている深夜。

京都で例えると高瀬川辺りかとイメージしたけど、全く違うことかも。(立日十)

・文字は綺麗ですが、意味が取れません。教えて下さい(貞徳)

 

これから分かり合おうとする顔達がある   恭平

 ○秋海棠・日和呂・白桃丸 選

・初句会、初会合のドキドキ感(秋海棠)

・インターネットを通じて様々な人と気軽に交流ができるようになりましたが、顔を合わせた時の情報量はやはり格別です(白桃丸)

・面白い句ですね、未来に起こる事を予感して人の出会いを眺めている。それも複数の顔を。しかしながら、それをこれからと表現されている。まさにそれが今始まろうとしている作者の決意のような物が感じられます(日和呂)

 

放火した娘はなにかを消すのかな   昌平

 立日十・○日和呂・貞徳 選

・そうなんだ何かを消す為に放火するのだ。そう言う火付けも有るのかと思わず唸りました。しかも火と、消す、と言うひっくり返しのシャレですね(日和呂)

・燃やしてしまいたいほどの人・物・記憶、娘には放火することで消したい何かがあったのだろうか(立日十)

・記憶です。何もかもいらなくなったのです(貞徳)

 

月が欠けてくれてうれしい   白桃丸

 日和呂・貞徳 選

・満月では余りに晃晃として完璧過ぎで、それも良いけれど作者はやはり欠けた月のほうがうれしいなどと言う。

完璧よりは欠けた方が自分に合っている。少し足りないぐらいが丁度いい、長年の人生が言わせる台詞です(日和呂)

・嬉しいです。綺麗な三日月が見えています(貞徳)

 

ゆっくり網掛けてセミ逃げた   秋海棠

 立日十・貞徳 選

・蝉が逃げないようにそーっと近づき、そーっと網をかけた。蝉はしっかり見ていて嘲笑うように逃げた。確かにこんなことをやっていた記憶がある。その場の臨場感が伝わる(立日十)

・気づかれないようにしてたつもりでしたが(貞徳)

 

散歩でポッと出た句忘れた   立日十

 人美・貞徳 選

・歩いても疲れるだけで何も生まれない。

かといって、歩き疲れて夜の公園のベンチに腰掛けて、月光を浴びるパンダさんや無人のブランコに何か閃くかと思いきや何も浮かばない。何処へ行けば句に出逢えるのか(人美)

・あるある、あります。思い出せなくて、ひょっとした瞬間に思い出す(貞徳)

 

車イス講習重ね重さ知る   昌平

 曉波・貞徳 選

・介護は重労働で、報われるのは自分の気持ちを強く持ち続けないといけません。気が遠くなる年月です。その内に自分も歳をとる(貞徳)

 

言いかけて止めた車内放送景色変わらず   秋海棠

 弥生・白桃丸 選

・言いかけたのは車内放送だけだったのか。変わらない景色が穏やかなようにも、寂しさを孕んでいるようにも見えます(白桃丸)

 

をんなに甘えてばかりで僕は壊れた蛇口    人美

 日和呂・貞徳 選

・僕は壊れた蛇口。何と言う上手い表現でしょうか、ハタマタ上手い言い訳なのか分からないけれど、そうやって生きて来た作者のルウズな人生が良く現れています。此の句は見た瞬間に誰の作かが良く判りました(日和呂)

・介護されてます?(貞徳)

 

どこまでもどこまでもやけっぱちしかない朝日だ   白桃丸

 弥生・○貞徳 選

やけっぱちなところが良くでてます(貞徳)

 

飲み込んだ言葉が骨の中で傷む   日和呂

 人美・貞徳 選

・テレビやネットで言いたい事言ってる人を見ると、腹立たしいが羨ましい。

大抵の人達は幾千、幾万の言葉を飲み込んで来ただろう。

だから現在の日常や生活が存在する。

あと僅かな人生、言いたい事言ってあっちへ行こう。でも言いたい事もないな(人美)

・言わなくて良かったのですよ。言ってたらもっと傷ついてたお互いに(貞徳)

 

女客月大きくしてかえりみち   人美

 立日十・○日和呂 選

・これぞ俳句と言うような句です。拍手(日和呂)

 

ジグザグに歩いた真っ直ぐな道   日和呂

 貞徳・白桃丸 選

・昔は確かにまっすぐな道を自由自在に歩いていました。今はすっかり真っ直ぐにしか歩かなくなりました。

あるいは、真っ直ぐにしか歩けないのかも(白桃丸)

・飲み過ぎましたね。気をつけて。私もよくこうなります(貞徳)

 

秋の夜風の中でローファーが早足   恭平

 立日十 選

・早足で歩けるようになった季節を颯爽と行く女性の姿が浮かぶ。

今年の夏は猛暑で歩くのもしんどかった。好きな句です(立日十)

 

朝掃除終え本読むひまだなァー   昌平

 貞徳 選

・ひまを感じられるのはきっと幸せなんです(貞徳)

 

ジャズバーにお客来てジャズタイム終わり   伸雄

 貞徳 選

・誰も聞いてないから練習してたのに・・・(貞徳)

 

コメント欄は安の河原に集う神々   立日十

 秋海棠 選

・安は「ネトウヨ」、うるさい烏合の衆、困ったもんや(秋海棠)

 

渡らなかった橋の向こうに立つ女   日和呂

 立日十 選

・男女の未来を決める劇的瞬間(立日十)

 

浴槽に僕のための波間   恭平

 白桃丸 選

・一人きりの風呂というものは静かで、しかし構成するすべてが自分のためだけにあるのだという満足感があります。波紋を「波間」と呼ぶ言語センスがお見事です(白桃丸)

 

ゆく船の岬に近づくころに波   立日十

 堯波 選

 

14100年先にははて差別はないかな   昌平

 貞徳 選

SFの世界ではもっと怖いことになっているかも。世の中が劣化しているのが怖い(貞徳)

 

月明かり捨て猫四匹まだここにいる   人美

 貞徳 選

・一茶風ですね。好きな感じです(貞徳)

 

ビンの口固まった甘酒指でなめる   秋海棠

 立日十 選

 

腹太鼓で下界の空気を揺らす   恭平

 立日十 選

・下界とあるので主体は天界か山上の住人か・雷様・仙人?

西王母・嫦娥など月に逃げた中国の古い話も重なる。

名月の夜に芒原の向こうで狸の親玉が腹太鼓を打つ景色も浮かぶ。

気宇壮大であっけらかんとした空間が面白い。

一度はやってみたい事の一つです(立日十)

 

灯明ほあかりの湖底の宮へ迷い込む影   立日十

 弥生 選

 

幼い頃見ていた 青空から落ちる夢    貞徳

 秋海棠 選

・ほんまにそんな夢見ました。ほんまに青かった(秋海棠)

・小学校に上がる前、真っ青な青空から海に落ちる夢をなん度も見ました。あとあとで考え直すと、前世は零戦乗りだったのかもしれないと思いました。小学校に上がる前のテレビの記憶は、ひょっこりひょうたん島がうっすらで、戦争ものの映画やテレビなんて見た記憶にないのに、結構鮮明に高い空から落ちる夢を見ていたのです。自分の生まれる2日前に札幌東京間の全日空機が羽田沖に墜落していますが、ちいさな空間の1人乗りだったと思うので戦闘機かと。(自句自解・貞徳)

 

老いを知る季節ハンカチにイーブイの笑み   白桃丸

 

ゴルフ場へ向かう車明かり   恭平

 

カツラ被って微笑んでるジャズマンLPの中   伸雄

 

身体の裏側まで見るにぎやかな沈黙   白桃丸

 

神無月の寄せ引く波よ私を洗え   立日十

 

苦笑い時給アップも物価にまける   昌平

 

 

 

 

令和61020日 投句一覧    全36

 

月が欠けてくれてうれしい   白桃丸

老いを知る季節ハンカチにイーブイの笑み
夜の川光るとき音
どこまでもどこまでもやけっぱちしかない朝日だ
身体の裏側まで見るにぎやかな沈黙

 

秋の夜風の中でローファーが早足   恭平
ゴルフ場へ向かう車明かり
これから分かり合おうとする顔達がある
浴槽に僕のための波間
腹太鼓で下界の空気を揺らす

 

一人ずつ影を押し付けて消えて行く   日和呂

生きる事スイカの種の一つに問う

渡らなかった橋の向こうに立つ女 

飲み込んだ言葉が骨の中で傷む

ジグザグに歩いた真っ直ぐな道

 

ゆっくり網掛けてセミ逃げた   秋海棠

言いかけて止めた車内放送景色変わらず

ビンの口固まった甘酒指でなめる

 

朝掃除終え本読むひまだなァー  昌平
車イス講習重ね重さ知る
放火した娘はなにかを消すのかな
14
100年先にははて差別はないかな
苦笑い時給アップも物価にまける

ジャズバーにお客来てジャズタイム終わり   伸雄
カツラ被って微笑んでるジャズマンLPの中

 

散歩でポッと出た句忘れた   立日十

コメント欄は安の河原に集う神々

神無月の寄せ引く波よ私を洗え

灯明の湖底の宮へ迷い込む影

ゆく船の岬に近づくころに波

 

ゆく秋にみんな知らない人ばかり   人美

暮れなずむ街角打ち酒二合ほど

をんなに甘えてばかりで僕は壊れた蛇口

月明かり捨て猫四匹まだここにいる

女客月大きくしてかえりみち

 

幼い頃見ていた 青空から落ちる夢   貞徳

 




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