今回は、現代ではあまりメジャーではありませんが、江戸時代には意外と人気があった毛女郎ですヾ(๑╹◡╹)ノ"
ただ、顔が毛でおおわれて、目鼻口も分からないというだけで、何をする妖怪かはよく分かりません。
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狂歌百鬼夜興
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『狂歌百鬼夜興《きょうかひゃっきやきょう》』[天保元(1830)年刊、菊廻屋真恵美《きくのやまえみ》編、青洋《せいよう》画、虎岳《こがく》画]
大阪公立大学中百舌鳥図書館所蔵(CC BY)国書データベース
※カラーの画像は、こちらでご覧になれます。国書データベース
※以下、赤字の書入れは筆者。
【原文】
▢毛女郎《けぢよらう》 守棟《もりむね》
如何《いか》ならむ 膚《はだえ》はさすが 知らねども あな恐ろしの[感動詞の「あな」と「毛穴」を掛けたか] 思ふ毛女郎
【現代語訳】
▢毛女郎《けじょろう》 by 守棟《もりむね》
毛が隠しているので、どんな肌(顔)をしているか、さすがに分からないのですが、毛穴だらけで毛むくじゃらの毛女郎を見ると、やはり恐ろしく思うのです。
【解説】
このページの挿絵は遊郭をモチーフにしているので、まさしく毛女郎[「女郎」は「遊女」のこと]はピッタリの妖怪ですね。
顔が毛だらけという怖い見た目で、驚かすだけの妖怪なんでしょうか???
狂歌百鬼夜狂
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『狂歌百鬼夜狂《きょうかひゃっきやきょう》』[天明五(1785)年刊、平秩東作《へづつとうさく》編]狂歌百鬼夜狂 / へつゝ東作 [編]
【原文】
毛女郎 土師掻安《はじのかきやす》
夜更けては 凄《すご》き縄手《なはて》の 長雨《ながあめ》[「眺め」と掛けた]も 振り向く顔の 毛女郎かな
【現代語訳】
毛女郎 by 土師掻安《はじのかきやす》
夜が更けて、長雨の中、もの寂しい縄手道《なわてみち》[一本道、あぜ道]を歩きながら前を眺めていると、女性が歩いているのが見えます。
「こんな夜に、こんな所を女性が歩いているのは、不思議だな」と、思っていると、その女性が振り向きました。
なんと、その女性の顔は毛だらけで顔が見えず、「これが噂の毛女郎か!」と驚いたのでした。
【解説】
雨で髪がびしょ濡れになって顔が隠れた女性を、夜と言うこともあり、毛女郎と見間違えただけだったりしてヾ(๑╹◡╹)ノ"
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今昔画図続百鬼
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『今昔画図続百鬼』[安永八(一七七九)年刊、鳥山石燕作画]
【解説】【原文】
毛倡妓《けじようらう》
或る風流士《たはれお》[戯れ男]、浮かれ女《め》の元に通ひけるが、高樓《たかどの》の連子《れんじ》の前にて、女の髪《かみ》打ち乱したる後ろ影を見て、その人かと前を見れば、額《ひたい》も面《おもて》も一チ面に髪《かみ》生ひて、目鼻も更に見えざりけり。
驚きて絶え入りけるとなん。
【現代語訳】
毛倡妓《けじょうろう》
ある遊び人[好色男]は、お気に入りの遊女の元に毎日のように通っていました。
ある時、遊女屋の格子戸[格子窓?]の前で、髪を振り乱した女の後姿を見ました。
愛しの遊女かと思って前を見ると、顔中に髪が生えていて、目鼻も全く見えませんでした。
遊び人は驚いて気を失ってしまいましたとさ。
この鳥山石燕の妖怪画集が毛女郎の初出だと思われます。
やはり、顔中毛だらけの女が現れたと書かれているだけで、それが一体、何者なのかさっぱり分かりません。
お気に入りの遊女の正体が毛女郎だったのか?
それとも全く別の妖怪なのか?
どちらにしても、「遊女遊びは、ほどほどに」ということを言っているのでしょうかね。
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毛女郎関連記事(本館)
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