in 吉行和子の20句
吉行和子の20句
「恋の亡霊」で藤竜也との迫真の演技が記憶に焼き付いている。
四十歳すぎでハードコアへの出演は全ての人が反対したらしい。
小説家の吉行淳之介は兄、詩人小説家の吉行理恵は妹。
冨士真奈美に誘われ俳句を始め、俳号は窓烏(まどからす)
「おんなふたり奥の細道迷い道」に三十一句が掲載されていて、
その中から好きな句を二十句選んでみました。
芋好きの男ニコニコよく眠る
白桃や優柔不断もやさしさか
冬薔薇昔兵隊だった人
冬に入る血管すべて身構える
秋の陽をまぶたに乗せて駱駝ゆく
ワイキキの砂がベッドの寝正月
ロミロミと揉みくだかれて月明かり
モスクワの恋は短し冬帽子
どこまでもひまわりの道トスカーナ
わが欲よ野菊のごとく小さくなれ
菜の花や揺れて一生過ごしたい
ひかえめに咲きつつも梅主役なり
恋心消えれば他人夾竹桃
魂よ気儘に遊べ鳳仙花
語ること多く残して寒椿
母が来たお盆も過ぎたこんな夜
八月やわが家幽霊ばかりなり
兄といた赤とんぼうや夢の中
縁側に父の手だけの日向ぼこ
遊べやと黄泉に誘う昼の月
吉行和子(よしゆき かずこ)
昭和10年(1935)東京生まれ。
女優、随筆家、俳人。
大島渚監督の「愛の亡霊」で日本アカデミー賞主演女優賞を受賞。
出典:おんなふたり奥の細道迷い道 吉行和子/冨士真奈美 著 集英社インターナショナル 刊
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