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2009.06.19
ジェイムズ『宗教的経験の諸相』(岩波文庫)
これは経験から言うんだが(笑)、どこかに少しでも「自分は頭がイイ」という思いがあると、経験論なんてバカらしくて読めない(笑)。
なんとなれば、経験論とは本来的にバカらしいからである。しかし人間というものは、第一次近似でいうとバカだ。
だから世界中、経験論はどこでも友達を見つけるだろう(あるいはいたるところで敵にぶつかるだろう)。
鶴見俊輔が言っていたことだが、ジェイムズはどこかで(たぶん『心理学』で)、こんな話をしている(余計なことだが、ジェイムズのそれはいつも「たとえ話」ではなく、単に「実話」だ)。
昔は歯を抜くための麻酔に、笑気ガスというおおらかな薬品を使っていた。
そのガスを吸うと無性に楽しくなるのだが(在りし日のパーティドラッグである)、おまけに痛みという感覚が薄れてしまう。
ある日、歯医者は自分でガスを吸って、いい気分になっていた。お手軽にトリップしてしまって、その最中に真理を発見し(つまりそういう気になった)、それをその辺りにあった紙切れに書き付けた。
ヒッチコックは同様のシチュエーションの小話を、「夢の中で素晴らしいアイデアを思いついた脚本家」というタイトルでやっている。もちろんオチは目覚めて(正気にかえって)、すっかり忘れてしまっていたそのメモを見るときだ。
歯医者はメモを発見した。それには真理が書いてあった。
「オレはガスで酔っぱらってる」。
なんとなれば、経験論とは本来的にバカらしいからである。しかし人間というものは、第一次近似でいうとバカだ。
だから世界中、経験論はどこでも友達を見つけるだろう(あるいはいたるところで敵にぶつかるだろう)。
鶴見俊輔が言っていたことだが、ジェイムズはどこかで(たぶん『心理学』で)、こんな話をしている(余計なことだが、ジェイムズのそれはいつも「たとえ話」ではなく、単に「実話」だ)。
昔は歯を抜くための麻酔に、笑気ガスというおおらかな薬品を使っていた。
そのガスを吸うと無性に楽しくなるのだが(在りし日のパーティドラッグである)、おまけに痛みという感覚が薄れてしまう。
ある日、歯医者は自分でガスを吸って、いい気分になっていた。お手軽にトリップしてしまって、その最中に真理を発見し(つまりそういう気になった)、それをその辺りにあった紙切れに書き付けた。
ヒッチコックは同様のシチュエーションの小話を、「夢の中で素晴らしいアイデアを思いついた脚本家」というタイトルでやっている。もちろんオチは目覚めて(正気にかえって)、すっかり忘れてしまっていたそのメモを見るときだ。
歯医者はメモを発見した。それには真理が書いてあった。
「オレはガスで酔っぱらってる」。
宗教的経験の諸相 上 (岩波文庫 青 640-2) (1969/01) W.ジェイムズ 商品詳細を見る |
宗教的経験の諸相 下 岩波文庫 青 640-3 (1970/02) W.ジェイムズ 商品詳細を見る |
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