宮崎県、西米良村に虹鱒を釣りに行く。

西米良村冬季ニジマス釣り場へ超朝駆けで走る。久しぶり師匠と一緒である。
橋から覗くと魚はいるが昨年より小さいし数も少ないようだ。これはで釣人の方が多い。
ロッドは伝家の宝刀R・L・W。9ft3番を継ぐ。師匠は準備もせず、まだゆったりコーヒーを飲んでいる。

2.jpg駐車場下のプール.jpg
3.jpg禁漁区からプール、下流を望む。.jpg

フライはピーパラ14番。野鳥がピーピー鳴いて、わずかだが羽虫がパラパラ飛んでいたのでピーパラという、ふざけたチョイスじゃないけれどこうなってしまう。実は今年、何を選んでも魚に喜んでもらえなくて、ややプラトー状態だった。それがまだ尾を引いていて、これだという自信がもてない。師匠が言うには、上達途上の誰もが突き当たるフライの壁だという。フーン、古稀を過ぎたジーチャンでもまだ伸びしろがあるということか。
師匠は、そんなことよりドライはキャスト八割、上手く抛ることが出来たら魚はフライを選ばすに食う、とおっしゃる。

下流禁猟区ギリギリの、先行の釣人が捨てていった瀬を拾うように釣ることしたが、午前中はその残された範囲から一匹掛けることが出来ただけだった。尺をちょっと超える大きさである。

4.jpgピーパラ。.jpg
5.jpg一匹目。.jpg
6.jpg一匹目が潜んでいた瀬。あの右の岩陰から現れた。.jpg

昨年より狭く流程が区切られていっそう釣堀になってしまった川では、魚は目や側線の隅々までビンビンに神経を通わせて水面から伝わる音や影を細やかに見定めていると思われた。それでも上手く抛ることが出来た時に、モッコリ魚が現れてピーパラを追ってくれたのだった。そうだ、この虹鱒をモッコリひょうたん島のレイン坊と名付けよう。

IMG_4262.jpg
IMG_4261a立冬.jpg
もう立冬なのに森は緑に黄色が滲んでいる程度で、季節は緩慢に巡っている。魚は自然と乖離のしようがないので、遅い秋にかえって活き活きと動かされているのは、先の一匹の闘いぶりから分かった。虹鱒らしい派手な跳躍もあって楽しく困らせてくれた。

さて、午後、人を避けて一匹を掛けた瀬をもう一度辿ってみることにした。午前が左岸なら午後は右岸からで、同じ瀬を攻める時のセオリーである。
師匠はまだコーヒーを飲んでいる。オイ、と背後から左手を大きく動かすしぐさを送ってくる。ホールを効かせよ、というのである。

ここでも拾う。.jpg
右岸には石組みの壁が迫っている。右利きが右岸から釣り上るので楽ではあるけれど、でも油断すると雑木にフライを取られる、腕が縮むとパチンとティップにフライが絡む。師の教え通りに努力する。少しは上達したか、魚は放流されたままに潜んでいた深い底からフワリと浮いてフライを追ってきた。一匹、二匹、三匹。

一匹目 (2).jpg
9.jpg右岸から掛ける。.jpg
8.jpg三匹目。.jpg
10.jpgここにも残っていた。.jpg
11.jpg四匹目、あばよ。.JPG

途中、師匠が降りて来て魚はもういないはずの左岸ですぐに掛けた。

12.jpg師匠も掛けた。.jpg

禁漁区ギリギリのプールまで来た。
魚が跳ねだし、底に沈んでいた群れが少し浮き出したようだったが釣人まみれで手垢のついた瀬にドライフライを追う魚はいない。ストリーマーとかニンフとか、沈めて釣るのに分があるようだった。

IMG_4259;.jpg
3.jpg禁漁区からプール、下流を望む。.jpg

途中まで一緒だった師匠は竿を置いて話し込んだり果てはキャストの講釈を始めたり、虹の時間を楽しんでいる。師匠は一匹でも掛けると後はこんなふうに過ごすことが多い。フライの楽しさをたった一匹で完結させているのだ。

結局、午前一匹午後三匹、昨年の半分もいかないまま日が暮れてしまい、虹鱒釣りはちょっぴり無念を滲ますて終わった。
帰り、師匠は、なんぼうかドライを抛れるようになったな、とほめてくれた。この日、多い人でも五、六匹と聞いていたので私の四匹はまずまずではなかろうか、と自画ジーサン。

往復600キロ、全部師匠の運転だった。弟子のためにいろいろ無理をしてくれているのが分かって、なかなかの師匠ぶりであった。

この記事へのコメント