「平手打ちされ本塁打」の幻想 息子が書いた「こわい」
木村健一
考えさせて伸ばすには?
お父さんこえー(怖い)
野球少年の長男が小学3年生だった2017年、学習塾で書いた作文のタイトルだ。
こんな書き出しだ。
「ぼくのお父さんは、こわいです。なぜなら野球ですこしとれなかっただけでお父さんはおこります」
長男は東京都内の少年野球チームで捕手をしていた。
私は、そのチームのコーチだった。
私自身、小学生の頃に野球をやっていた。「怖い」コーチになってしまったのは、当時の体験があったからだろう。
神奈川県の強いチームだった。長く指導していた監督とコーチは、いつも怖かった。それでも、先輩たちが毎年のように甲子園で活躍するのが誇らしかった。
試合で走塁ミスを犯し、ベンチに戻った時のこと。監督に平手打ちされた。父親にも殴られたことはなかったのに。
悔しくて、悲しかった。涙を…