同級生に「くさい」と言われ… 便失禁だった私の決断

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鈴木彩子
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 「今からトイレ、使うね」

 風呂を済ませたあとの寝る前のひととき、関東地方で暮らす女性(38)は、同居する母(65)に声をかけて、30分ほどトイレにこもる。専用の医療機器を使って、肛門(こうもん)から700ミリリットルほどの水を注入し、腸内の便を洗い出す。

 これが、ほぼ2日に1回の日課だ。30年以上悩んできた便失禁から4年前にやっと解放された。

 「肩の荷がおりた気分です」

給食後、急いでトイレへ

 食事をすると便が漏れる。女性は物心ついたときから、便失禁に悩んでいた。ご飯を食べ終えて「あ、出そう」と思ったとたんに、がまんができずに便が出てしまう。小学生になっても、便だけはどうしてもトイレに間に合わなかった。

 母は早くから、生理用のナプキンを持たせてくれた。学校には、いつもナプキンをあてて登校した。給食を食べ終えると、毎日必ずトイレに駆け込んだ。

 便はコロコロとした固形の場合が多かったが、水っぽいこともあった。下着を二重にしたり、ブルマーをはいたり、と工夫を凝らしたけれど、下着や服を汚してしまうこともあった。くしゃみやせきで、出てしまうことも。体育の授業は、中座してトイレに行くことが多かった。

 クラスの子からは「くさい」「ずるい」と言われた。あまりにたびたびトイレに行くので「頭がおかしいんじゃないの」とも言われた。友だちは、できなかった。悔しかったけれど、原因がわからず、対策のとりようもなかった。

 小学4年生くらいのころ、大…

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この記事を書いた人
鈴木彩子
くらし報道部
専門・関心分野
医療・健康、脳とこころ、アレルギー