「重症化を防げ」、コロナ治療薬のいま 抗炎症薬併用も

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編集委員・辻外記子
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 新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、有効な治療薬が望まれ、既存薬の転用に活路が見いだされてきた。ただし実用化が進むワクチンと比べ、開発の動きは鈍いとも言われる。背景にはコロナ独特の病態の変化がありそうだ。この間にどんな変遷があり、治療薬はいまどのように使われているのか。

 新型コロナに感染し、せきや発熱といった症状が出てしばらくは、体内でウイルスが増殖する。この時期は、抗ウイルス薬が効く。

 インフルエンザなどの感染症ではウイルスが増え続けるが、新型コロナは発症から7日前後すると、炎症反応が主になり、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)など免疫反応の異常がでる。このため、酸素吸入が必要な中等症や重症者には、抗炎症薬や免疫抑制薬が有効になる。

 だが病態は重なっている時期もあり、肺のコンピューター断層撮影(CT)でもウイルスが増殖中かどうかを見極めるのは難しい。発症からの日数だけでも判断しにくい。

 いま国内で治療薬として認められているものは、三つある。

初は、抗ウイルス薬「レムデシビル」

 国内初となったのが、昨年5月に特例承認された抗ウイルス薬レムデシビル(商品名ベクルリー)。エボラ出血熱向けに開発されたもので、対象は当初、重症者を原則としていた。

 だが海外の臨床試験の結果から、人工呼吸が必要になるなどの重症患者には効果が期待できない可能性が高いとわかってきた。今年1月、添付文書が改訂され、中等症を含むコロナ肺炎の患者全般に対象が広がった。日本集中治療医学会と日本救急医学会による指針は、中等症に弱く推奨、重症者には投与しないことを弱く推奨する。

 一方、抗インフル薬ファビピ…

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この記事を書いた人
辻外記子
科学みらい部長代理
専門・関心分野
医療・ケア、医学、科学