仲間の髪でウィッグ、踊ったフラダンス 脳腫瘍は進行…思い描く将来
編集委員・辻外記子
1歳8カ月で脳腫瘍(しゅよう)と診断された福井市の浪花莉愛(りな)さん(12)は、再発を繰り返してきた。
この秋に病状は進行し、ふらつきが目立つようになった。
「いま行かないと、チャンスがないかもしれない」
父、浩和さん(52)は11月中旬、莉愛さんと、東京に1泊旅行にでかけた。
石川県の小松空港から飛行機で羽田空港へ。バスで多摩市のホテルにつくと、たんを吸引する器具を持って、サンリオピューロランドに向かった。
今年の夏ごろから、莉愛さんが行きたがっていた場所だ。
新型コロナウイルスの流行もあって、なかなか東京に行けなかった。だがこの頃は、全国的に感染者が少なく、実現できた。
中に入ると、売店で買ったカチューシャを頭につけた。
浩和さんと手をつなぎ、右足を少しひきずるようにして歩き続けた。
大好きな「ぐでたま」のゲームをしたり、人形と遊んだり、オムライスを食べたりした。
グッズ売り場にいくと、自分のものばかりでなく、家族へのお土産を買って、と浩和さんにせがんだ。
閉館する5時前には、浩和さんに背負われ移動した。
自分で歩くことが困難に
その数日後、自分で歩くこと…