第2回「出世できないかもよ」それでも選んだ妻の姓 2人が本当に望むこと

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田渕紫織
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 和也さん(36)と美樹さん(31)は今月、離婚した。

 といっても、書類の上での話だ。

 地元の東京都葛飾区役所に離婚届を出した。6日後に再び、婚姻届を出す。

 今度は、妻の氏になる「妻氏婚」を選ぶことにした。

 そこまでには、長い道のりがあった。

 2人が結婚したのは5年前。

 結婚することを周囲に伝えると、決まってこんな反応が返ってきた。

 美樹さんには、「新しい名前、何になるの?」。

 和也さんには、「奥さんの名前、何?」。

 和也さんは当初、美樹さんが自分の名字になったことがうれしかった。

 婚姻届で名字を選ぶ欄で「夫の氏」にチェックをつける前、妻と話した記憶はあるが、内心では「普通は夫の名字だし、わざわざ話す必要もないんだろう」と思っていた。

 新たな戸籍は、自分が筆頭者になり、自分の名字で統一されている。それを眺める気分は、悪くなかった。

 母は「この家にお嫁に来てくれるのよね」とうれしそうに話していた。

 一方の美樹さんは、落ち込んでいた。

 「名字を変えたくなかった」…

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この記事を書いた人
田渕紫織
東京社会部|災害担当
専門・関心分野
災害復興、子ども

連載ペーパー離婚しました 自分の名前で生きたい(全2回)

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