「北方領土も思ってくれたのでは」 元島民が見たゼレンスキー氏演説
大野正美 松尾一郎
ロシアの侵攻を受けたウクライナのゼレンスキー大統領が23日夕、日本の国会でオンライン演説した。北方領土の元島民からは、かつての体験と重ねた共感の声が聞かれた。
元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の標津支部長、福沢英雄さん(81)は、歯舞群島・多楽(たらく)島の元島民。1945年8月の終戦時は5歳だった。9月の旧ソ連の侵攻後間もなく、漁師だった父の漁船で脱出した。島では「ソ連兵が大きな穴の前に島民を集めて銃殺をするらしい」といううわさが流れていたという。
そんな経験を持つ福沢さんは、ゼレンスキー大統領が「戦火のなかでウクライナ国民は墓地に埋葬ができず、庭や道路に遺体を埋めている」と語った時、「遺体が埋まる道路を進むロシアの戦車を思い浮かべ、胸が痛んだ」という。
演説の「ウクライナを復興し、古里に戻れるようにしないといけない。日本の皆さんにも、そういう気持ちはわかるはずだ」との言葉には、「北方領土問題のことも思って話してくれているのでは」と感じたという。
福沢さんは今、かつての体験…