コロナ禍の精神科病院、転院できず235人死亡「できることが…」

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長富由希子
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 新型コロナウイルスの「第6波」下、西日本のある精神科病院で、感染が広がった。

 最初は、陽性者を個室に隔離できた。普段は自傷や他害の恐れがある患者らが入る部屋だ。

 5人、10人、15人。感染者はあっという間に増えた。個室はもうない。

 陽性者と、検査結果がまだでていない患者が、相部屋で混在した。

 最後は、看護師の詰め所などをのぞき、病棟全てが、レッドゾーンになった。

 「まだ陰性の人も、中にいたはずなのに」。

 この病院で働く男性は思った。

 認知症の高齢者ら数十人がレッドゾーンで暮らす。

 男性がよく知る認知症の患者も、ベッドに横たわっている。

 長く長く水に潜った後、ようやく息を吸えた時のように、苦しげな呼吸を繰り返す。

 肺炎をおこし、モニターの心拍数は大きく乱れている。

 「どれだけ苦しいだろう」と男性は思う。

新型コロナウイルスの流行下、精神科病院でもクラスターが相次いでいます。民間調査によれば、235人が転院できずに亡くなりました。そんな中、精神疾患のあるコロナ患者を積極的に受け入れた病院を取材しました。

 病院にいるのは精神科医で…

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この記事を書いた人
長富由希子
大阪社会部
専門・関心分野
社会保障、人権、精神疾患、原爆