大学で発達障害と気づいた 日本での生きづらさ痛感した筑波大院生
「障害は環境によって生まれる」という言葉に、共感している。日本は、目が見えない人や耳が聞こえない人には優しいけれど、読み書きが苦手な人には優しくない――。
筑波大学大学院博士課程3年で、読み書き障害のあるリアムさんは、よくそう感じる。
発達障害の特性から、様々な壁にぶつかりながら過ごしてきた大学生、大学院生に、これまでどう学んできたのか、どんな思いを抱いているのかを聞きました。同じ悩みをもつ子どもたちへの、「先輩」からのメッセージです。
文字を読もうとしても、文字を形づくる線が離れたり重なったり、動いたりして見える。だからレストランのメニューもほとんど読めない。「読めないから読んで欲しい」と一緒にいた人に頼んだこともあったが、「ふざけてる?」と軽く返された。大抵はメニューを読んでいるふりをして、だれかが先に注文するのを待ち、「それ!」と同じものを注文する。
役所などでは、書類を読んだらチェックを入れるよう求められる。「すみません。読めないんです」と言うと、一瞬じっと見て「英語は裏面」と裏返された。
書くことも苦手で名前が書ける程度だ。ホテルにチェックインする際、記入を求められた事項をiPhoneに打ち込んで画面を見せたら、耳が聞こえないと勘違いされ、聴覚障害者用のボードを出された。
「欧米では多様な人への配慮がされていて、もっと選択肢が多く用意されている」とリアムさんはいう。
小学校までイギリスで育った。聴覚過敏もあって、雑音や騒音がある場所は苦手だ。そのため、幼稚園では教室からよく飛び出した。
でも、そんな時、イギリスの先生はパズルを渡した。パズルに夢中になると、雑音が耳に入らなくなって落ち着くと気づいたからだ。飛び出すことを叱って引き戻すのではなく、落ち着く方法を探してくれるのが、先生だった。
帰国した日本の学校で、イギリスの幼稚園や学校では感じなかった壁に直面します。記事後半では、読み書き障害があるリアムさんが、中学高校の定期テストをどう乗り越え、大学の授業でどんな配慮をうけたかを語ります。
写真を撮るように、画像を頭…