親に殴られ12歳から4度うつ病 東大卒の精神科医が患者に願うこと

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長富由希子
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 中学受験で難関校に合格し、高校の全国模試で総合1位を取り、東大に現役合格して医師になった。

 こうした経歴の裏で、成績が悪ければ親に殴られ、12歳からうつ病を4度繰り返した。

 「子どもの頃から両親の顔色をうかがって、常にびくびくしていました」

 精神科医の岡本浩之さん(43)=東京都中野区=はそう話す。

 小学生の頃は成績が悪いと父親に罵倒され、たたかれた。

 母親は、悪い成績を見ると真っ青になってトイレで吐いて、寝込んだ。

 自室はトイレの横にあり、吐く音が、よく聞こえた。

 「母親をこんな目にあわせるなんて、最低だ」

 耳をふさいで泣いた。

 ずっと人と関わることが苦手で、自信もなかった。

10月10日は心の不調への理解を願う「世界メンタルヘルスデー」です。精神科医になった岡本さんは、うつ病に苦しんできました。学生時代のうつ症状と勉強、どのように自分の心を安定させていったのかなどを聞きました。

「絶対に失敗できない」 コース上で嘔吐

 対照的なのが三つ上の兄。社交的で、勉強も運動もよくできた。

 周囲に、よく比べられた。

 「お前の兄ちゃんはすごいな…

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この記事を書いた人
長富由希子
大阪社会部
専門・関心分野
社会保障、人権、精神疾患、原爆