信者の中心だった母は壊れた 生きづらさ伝える「宗教2世」の漫画家
「神や仏じゃなく、親から愛されたかった。それが、多くの宗教2世が感じていることではないでしょうか」
今月、「『神様』のいる家で育ちました~宗教2世な私たち~」(文芸春秋)を出版した漫画家の菊池真理子さんは話す。
7人の「2世」たちの実体験をまとめた。その7人には、自らも含まれる。
生活の中心は「宗教」だった
幼いころから、妹とともに、母が信仰する仏教系の新興宗教に入信させられていた。
熱心な信者だった母は、毎朝3~4時には起きて、宗教団体が発行する新聞を配達しに出かけた。いったん帰って来て菊池さん姉妹を学校に送り出した後も、夜遅くまで宗教活動で外出した。母の帰りを幼い妹と待ち続け、子どもだけで夕食を取る日や、お風呂に入れてもらえない日が続くこともあった。
母は家にいるときも熱心に読経していた。生活の中心に、いつも宗教があった。
菊池さんも、信者仲間のなかで中心的な立ち位置で、頼りにされていた母のことを誇らしく感じていたという。
しかし、だんだんと母は心身のバランスを崩すようになった。
仏壇に向かって泣き、宗教活動から帰って来ても泣き……。ふとしたことで、菊池さん姉妹に泣きながら感情をぶつけ、家から閉め出されたこともある。幼ごころにも、宗教活動での人間関係のつらさや、無宗教を貫いた父との関係修復が難しくなったことが、母を苦しめているように見えた。
そんな母の姿に、いつか壊れてしまうのではないかと、不安を覚えるようになった。
「もっと、いい子にしなくちゃ。そうすれば、お母さんは喜んでくれる」
宗教活動にも励んだ。
ところが、菊池さんの嫌な予感は、的中してしまう。
菊池さんが14歳のとき、母…