米軍基地「未来に向かってない」 にじむ諦念 演劇で語る沖縄現在地
井上秀樹
沖縄本島で生まれ育った2人の劇作家が、米軍基地をめぐる戯曲をそれぞれ書いた。どちらも諦念(ていねん)がにじむのは、作為か、本音か。本土復帰50年の現地で話を聞いた。
「結局基地はなくならないんですか?」
1972年の本土復帰を前に、住民が意見交換会をする。そんな劇中劇を演じる現代の役者たちの、本音が噴出する。那覇市の劇艶(げきしょく)おとな団の代表作「9人の迷える沖縄人(うちなーんちゅ)」だ。
映画や舞台で有名な米国の「十二人の怒れる男」は、陪審員たちが一つの結論を出すのに議論を尽くす。「9人」は最終盤、役者たちが持論を激しくぶつけ合うものの、結論は出ないまま幕が下りる。
戯曲を共同で書いた那覇市出身の安和学治さん(53)は、復帰の時は2歳。先輩たちから復帰前の様子を聞いていた。「沖縄戦は本土の人に書かれちゃう。沖縄の演劇に携わる人間として、復帰を書くべきだ」との思いがあった。
戯曲では、「本土」という男が「沖縄人がうすうすわかってたことをずばり指摘する役目」として登場するように、人物の特徴や意見が役名になっている。
2015年に初演。今年5月にあらためて上演するにあたり、安和さんが際立たせたセリフがある。
「アメリカ統治されてた、米…