会計基準を見ない粉飾立件 元公認会計士に再審のチャンスを
東京経済部・松浦新
取材考記
企業は株式を発行して資金集めができる。その価値を裏付けるのは決算書(有価証券報告書)だ。ここにうそを載せると、金融商品取引法(金商法)で10年以下の懲役など刑事罰を受ける可能性がある。
決算書には「会計基準」というルールがある。時々見直されるし、業界によって違うこともある。決算書に企業の姿をいかに正確に反映するかの工夫が続けられている。
これをめぐり、東京高裁が昨年12月に示した判決に、私は驚いた。
横浜市にある東証スタンダード上場の住宅関連会社「すてきナイスグループ」(現ナイス)の元会長ら2人が架空取引の利益を決算書に計上したなどとして金商法違反に問われた裁判で、有罪とした横浜地裁の判決を破棄し、改めて「会計基準に照らして虚偽の記載をしたといえるかどうか」の審理をやり直すよう求めたのだ。
粉飾事件で会計基準が争点にならなかったのか?
判決によると、一審で弁護士…