2人目も難病かも、夫婦に「迷いなかった」 出生前診断で固めた覚悟

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田村建二
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 熊本市のひろこさん(37)、しゅうごさん(38)夫妻は、長男しんちゃんが3歳になったころから「2人目の子を授かれたらいいね」と話し合っていた。

 脊髄(せきずい)性筋萎縮症(SMA)は、次の子にも4分の1の確率で起こる可能性があった。

 でも、夫婦に迷いはなかった。たとえSMAでも、ちっとも構わない。

 しんちゃんが生まれたとき、治療法はなかった。その後、「スピンラザ」という薬が使えるようになり、さらに米国で「ゾルゲンスマ」という新薬が登場していた。

 ゾルゲンスマは「遺伝子治療薬」と呼ばれるタイプの薬だ。運動神経がきちんと働くようにするという目的はスピンラザと同じだが、作用するしくみは異なり、効果はスピンラザを上回ると聞いた。

 夫婦は、SMAの治療薬についての情報を、東京女子医大病院の斎藤加代子医師(70)から主に得ていた。

 斎藤さんは、約30年間にわたってSMAの診療を担当してきた専門家だった。ひろこさんらは、しんちゃんが1歳だった2015年8月以来、何度か上京して受診していた。

 2人目の子について相談したとき、斎藤さんはゾルゲンスマがもうすぐ、日本でも使えるようになりそうだと説明した。そして続けた。

 「出生前診断について、考えてみてください」

 出生前診断といえば、赤ちゃ…

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この記事を書いた人
田村建二
科学みらい部
専門・関心分野
医療、生命科学