残された預金「火葬し無縁仏に」 孤独死で遺書、かなえられない現状
森下香枝
地域や家族のきずなが乏しく、一人で死にゆく人への対応に行政がおわれている。総務省が初めて実施し28日に明らかにした実態調査では、急速に高齢化が進む中、制度と現状がかみあっていない実態が浮き彫りになった。
人口約40万人の神奈川県横須賀市は全国に先駆けて終活登録に取り組むなど、高齢者の孤独死や無縁遺骨対策の先進地だ。その中心となってきた市福祉部福祉専門官の北見万幸(かずゆき)さんは苦い経験が記憶に残っている。
市内在住の男性は、がんが見つかる78歳までペンキ職人として働き、翌年、79歳で一人で亡くなった。身寄りがなかったので市で戸籍などをたどり、相続人の調査をすると、東北地方に親族がいた。連絡したが、遺体や遺骨の引き取りが難しく、墓地埋葬法が適用され、公費で荼毘(だび)に付した。
北見さんらが遺品整理をして…