テーブス海「そういう見方されたくない」 差別に向き合い得た責任感

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聞き手・高橋健人
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 殻が白と赤の二つの卵が並んだ写真と、それを割った黄身と白身が並んだ写真をツイッターに投稿したことがある。

 文章は添えなかった。

 「白い卵も赤い卵も割ったら中身は変わらない」ということを表していた。2020年6月のことだ。

 沖縄などで行われるバスケットボール男子ワールドカップ(W杯)=8月25日開幕=の日本代表候補だった、Bリーグ1部・アルバルク東京に所属するテーブス海は、経験を基に差別や偏見について考え、発信してきた。

 当時、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて亡くなった事件を機に反人種差別デモが世界中で広がっていた。投稿にはそれを周知する意図があったという。

 カナダ人の父親と日本人の母親を持つ24歳は、高校2年だった15年から5年間ほど米国でバスケ留学をした。差別の問題とはどう向き合ってきたのか。

    ◇

 ――投稿のコメント欄に「世の中の差別を無くすために、黒人の人権を取り戻すために我々はなにができるのかを考えた方がいいと僕は思います」という文章をつづりました。当時の思いを教えてください。

 米国の大学を中退して、日本に帰ってきて宇都宮ブレックスに入団したばかりの頃でした。ちょうど、「BLM(Black Lives Matter(ブラック・ライブズ・マター)=黒人の命も大切だ)」運動のニュースがよくテレビやSNSで流れていました。

 日本には黒人があまり多くないので、BLMのことを見たり、聞いたりする機会が少ないかもしれない。でもそうした差別が世界的に存在しているということは事実です。それを日本の人にも知ってもらいたくて、何か発信したいという純粋な気持ちでした。

 ――発信することを促したものは何でしょうか。

 米国に住み、黒人の友だちができて、彼らの差別的な経験をまぢかで見たこともありました。一人の友人として、情報を広められたらという責任感がありました。

 ――どんなことを見たんですか。

 米国で2校目の高校に通っていたとき(17年ごろ)のことです。チームメートだった黒人の友だちが車を運転してくれて、僕が助手席に座っていたんです。車両の後ろに付いているブレーキライトの片方が故障していたみたいで、警察官に止められました。

 僕は「別に悪いことをしていない」と、あまり気にしていませんでした。

 でも友だちはすごく焦り出し…

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この記事を書いた人
高橋健人
スポーツ部
専門・関心分野
プロ野球、バスケットボール、ゴルフ、大リーグ