計画は当初の100年遅れ…続く「夢の原子炉」開発 根本的な問題も

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佐々木凌 福地慶太郎
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 放射性廃棄物が減り、資源を有効利用できる――。そんな「夢の原子炉」とも呼ばれる高速炉開発の動きが、国内で活発になってきた。ただ、政府が「今世紀後半」とする実用化の時期は、当初計画のほぼ100年遅れ。そもそもこの計画は根本的な問題を抱えているという指摘すらある。

実験炉・常陽の運転再開は1年半延期に

 日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県大洗町)が6月、報道陣に公開された。運転時に液体ナトリウムが流れる配管がある部屋の近くには、黄色い消火器が二つあった。液体ナトリウムが漏れて火災が起きた際に使う特殊な消火器だ。

 高速炉の特徴は、原子炉の熱をとる「冷却材」に水ではなく、液体ナトリウムを使う点。核分裂で出る中性子を高速のまま利用することで、消費量より多い核燃料を生み出す「増殖」ができ、放射性廃棄物の量や有害度も減ると期待されてきた。

 ただ、液体ナトリウムは扱いが難しい。水と激しい反応を起こすため、火災時も水をかけられない。原子力規制委員会は今年7月に常陽の安全対策の基本方針を許可したが、審査では複数の火災感知設備や消火設備を用意させるといった対策を確認した。

 常陽は1977年に初臨界をしたが、実験装置の引き抜きに失敗するトラブルで2007年から停止中。原子力機構は24年度末の運転再開をめざしていたが、今月18日、約1年半延期し「26年度半ば」とすると発表した。審査の過程で規制委から求められた火災や地震対策の工事に時間がかかるためという。

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 一方で、これまで高速炉開発…

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この記事を書いた人
佐々木凌
科学みらい部|宇宙担当
専門・関心分野
宇宙、原発・エネルギー、災害・防災
福地慶太郎
科学みらい部|原子力担当
専門・関心分野
原子力、福島第一原発事故、生命科学