キャッシュレスが急速に広がるインド PayPayも最初の進出先に

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グルガオン=石原孝
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 雑貨やアクセサリーの商店や露店が立ち並ぶインドの首都ニューデリーのマーケット。女性客が次々に入っていく洋服店をのぞくと、150ルピー(約257円)と書かれた値札に、QRコードが貼られていた。この国で人気のモバイル決済サービス「Paytm(ペイティーエム)」のものだ。

 買い物に来ていたプリヤ・ナンダワナさん(29)は、自分のスマートフォンを取り出して専用のアプリでコードを読み込み、値段を入力していく。

 5秒ほどの間に、買い物は終了。「小銭がない」と言って店側がお釣りをくれない、現金払いの時のおなじみの光景も見られなくなってきた。ナンダワナさんは「現金を多く持っている必要がないので、スリの被害に遭う心配も減った」と笑った。

 店員のアビシェーク・ヤダブさん(22)も「この数年で、客の8割ほどがキャッシュレス決済のサービスを使うようになった。使えないと言ったら、お客が逃げていくだけだ」と言う。

 ペイティーエムは、月に平均して8900万もの人が利用し、競合企業もしのぎを削る。道ばたでチャイを売る露店でもモバイル決済が使えるなど、人々の生活に根付いてきている。

「有望な国」への進出

 キャッシュレス化が進むインドに進出する日本企業も出てきた。

 日本のスマホユーザーの約3分の2が登録するキャッシュレス決済大手の「PayPay(ペイペイ)」もその一つ。昨年10月に初めての海外進出先としてインドを選び、ニューデリー近郊に開発拠点を設立。年明けから事務所を立ち上げた。

 なぜ、インドだったのか?

 キャッシュレス決済がインドでここ数年、急速に普及しています。その様子や背景を取材しました。

 ペイペイの立ち上げから関わ…

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この記事を書いた人
石原孝
ニューデリー支局長|南アジア担当特派員
専門・関心分野
アジアやアフリカの新興国・途上国の情勢