首都圏でも「陸の孤島に…」 減便・廃止相次ぐ路線バスが抱える構造
路線バスの減便や廃止が都市部でもじわりと忍び寄っている。その多くは民間会社が運営し、公共交通なのにビジネスを考えざるを得ない。運転手不足に加え、来年には労働時間の上限規制が強まる「2024年問題」も迫る。減便や路線廃止は一気に加速するのだろうか。
夫は免許返納「バスなくなれば…」
千葉市若葉区の大宮台地区は1960年代、東京のベッドタウンとして住宅が急増した。
最寄り駅は約3キロ離れたJR鎌取駅。1日平均の乗車人員は1万7958人に上る。その駅と同地区を結ぶ路線バスが10月、厳しい収支や運転手不足で、もともと数は多くなかったが、ほぼ半減して2往復になった。
同地区に住む女性(83)は週3回、駅近くのフィットネスクラブに通ったり、ショッピングモールに買い物に出かけたりするために利用する。「本数が少なくなったので逃したら帰れない」と肩を落とす。
自宅から駅までは、歩けば1時間かかる。同居する90歳の夫は3年前に免許を返納した。30分かければ別のバスで千葉駅に出られるものの、ハードルは低くない。女性は「バスがなくなればますます陸の孤島になってしまう。地域の交通網がどうなるのか。不安です」。
首都圏だけでなく、大阪でも福岡でも都市部で減便、廃止が相次いでいます。バス運転手の離職が止まらない現状と、バス会社の苦悩を取材しました。