中絶の罪悪感を強いる社会 体の自由と安全を保障するのは国の責務
聞き手・山田佳奈
望まぬ妊娠をした女性がなぜ、厳しい立場に立たされ続けるのか。塚原久美さんは、自ら20年以上研究してきた中絶をめぐる問題と通底する話だと指摘します。
中絶の罪悪感に苦しみ、大学院に進学して研究
私は大学生のときに妊娠し、中絶しました。罪悪感に苦しみ、心身の不調を長く抱えました。その後、30代後半で娘を出産し、「この子が大人になるまでには中絶が女性に大きなマイナスの影響を与える社会を変えたい」と、大学院に進学して研究してきました。
ここ数年、国際社会は「性と生殖に関する健康と権利」を尊重する中で、女性が安全に中絶する権利を守る方向に劇的に変わっています。
カトリック信者が多数派を占め、胎児の権利と女性の権利を同等に位置づけてきたアイルランドでは、2018年に国民投票で中絶を合法化するという画期的な出来事がありました。世界保健機関(WHO)が22年に更新した中絶ケアガイドラインでは、より安全に中絶できるよう、必要とする全ての人が正確な情報を入手でき、経口中絶薬などにアクセスできるようにすることを推奨しています。
一方、日本では堕胎罪があり…