東芝に1億円超の賠償命令 虚偽記載による機関投資家の損害を認定
金子和史
東芝の不正会計問題をめぐり、有価証券報告書(有報)の虚偽記載などで株価が下落し損害を受けたとして、海外の104の機関投資家らが同社に計約572億円の賠償を求めた訴訟の判決が21日、東京地裁であった。笹本哲朗裁判長は、自らの名義で株式を取得した5企業に限って請求を認め、同社に計約1億669万円の支払いを命じた。
判決は、有報の純損益部分の記載は虚偽で、不法行為にあたると指摘。発覚による株価の下落は虚偽記載によって生じた損害と認定した。
一方、取得を資産管理銀行などに委託していた他の投資家らについては一律に「金融商品取引法が定める賠償責任の対象に当たらない」と判断。原告側は、実質的な株主にあたると主張したが、資金の流れが複雑で類似訴訟も多いことから「画一的に処理することに合理性がある」とした。