「20年で人間超える確率は50%」AI界のゴッドファーザーの警告

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トロント=五十嵐大介
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 人工知能(AI)研究の第一人者として知られるカナダ・トロント大のジェフリー・ヒントン名誉教授(76)が朝日新聞の取材に応じ、人間の能力を超えるAIが今後5~20年以内に実現する確率が「約50%」との見方を示した。長期的には「人類の脅威になりうる」として、国際協調の重要性を訴えた。

 ヒントン氏は、長期的な最大のリスクとして「AIが人間より賢くなり、自らコントロール(統制)したいと考えるようになることだ」と指摘。人間の能力を超えるAIを「スーパーインテリジェンス」と呼び、人類の脅威になりうる可能性があるとした。

ジェフリー・ヒントン氏

 1947年、英国生まれ。人間の脳の神経回路のしくみをまねたコンピューターのアルゴリズム(計算手順)「ニューラルネットワーク」の研究に貢献。「深層学習(ディープラーニング)」と呼ばれる手法で功績を上げ、2018年にコンピューターサイエンスのノーベル賞と呼ばれる「チューリング賞」を受賞した。「AI界のゴッドファーザー」と呼ばれている。13年から米グーグルで働いていたが、23年に退社。AIの安全性の課題を世界に訴えている。

 短期的なリスクとしては、AIでフェイク動画などを生成して選挙で不正行為を行うことを挙げ、「民主主義への重大な脅威となる」と強調。AIの普及で生産性の向上が期待できる一方、ホワイトカラーの中間層の仕事が減り、格差が広がる可能性にも触れた。「貧富の差が広がる社会は不安定になり、極めて悪い結果につながる。真剣に対応を考えるべきだ」と話した。

代替できない仕事は科学者・小説家・配管工

 AIが代替しにくい技能とし…

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この記事を書いた人
五十嵐大介
サンフランシスコ支局長兼編集委員
専門・関心分野
テクノロジー、経済、グローバリゼーション