初号機の失敗から1年 H3ロケット2号機に託された宇宙開発の未来
日本の新型ロケット「H3」の初号機が打ち上げ失敗してから約1年。2号機が17日に打ち上げられる予定だ。今後の日本の宇宙開発の根幹を担うロケットなだけに、成否による影響は計り知れない。
2号機は全長57メートル。計画では、初号機と同じくLE9エンジン2基、固体ロケットブースター2本、衛星のカバーは長さが違う2種類のうち短いタイプで打ち上げる。
搭載物は失敗受けて変更
ただ、当初予定していた地球観測衛星「だいち4号」は載せない。ロケットの性能を確認するためのダミー衛星「VEP-4」を搭載するという。
このほか、ロケットの空いたスペースを利用して2機の小型衛星も搭載する。JAXAは、無償で打ち上げるが打ち上げに失敗しても補償しないことを条件に公募していた。
搭載物を合わせた重さが初号機に載せた「だいち3号」とほぼ同じになる。飛行経路も同じにすることで、初号機で得られなかったデータの取得をめざす。
JAXAによると、メインミッションはロケットの軌道投入だという。初号機で失敗した第2段エンジンを燃焼させ、高度675キロ付近まで到達させる。
JAXAのH3プロジェクトマネージャの岡田匡史さんは「今度こそH3を安全安心に宇宙に届けたい」と話す。
VEP-4は重さ約2・6トンで、円柱のような形をしたアルミの塊だ。
実際に軌道に投入することはせず、衛星を分離する動作を確認する。ばねで衛星が押し出されるが、ボルトにより1センチほど動くだけ。スペースデブリ(宇宙ごみ)にならないように、第2段エンジンに保持された状態で、大気圏に再突入するという。
リスク承知で載る2機の小型衛星
相乗りする小型衛星のうち、一つはキヤノン電子が開発した小型衛星「CE-SAT-ⅠE」。重さは約70キロ。打ち上げから約17分後に分離される。デジタルカメラを使って、地上や天体を静止画や動画で撮影する。
もう一つは、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構などが開発した小型衛星「TIRSAT」。重さは約5キロ。これは打ち上げの約25分後に分離される。熱赤外センサーで、地上の熱の変化を観測する。新型コロナウイルスで世界的にサプライチェーンの寸断リスクが問題になったことをきっかけに、工場の稼働状況を迅速に把握する仕組みが必要と考えて、開発したという。
■2号機にかかる宇宙開発の未…