アジア太平洋地域に中距離ミサイル配備 米太平洋陸軍司令官に聞く

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編集委員・佐藤武嗣
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 米軍がアジア太平洋地域への中距離ミサイル配備に動き、米国製トマホークを来年度に導入する自衛隊との連携強化を目指している。米軍はこれまでロシアと締結していた中距離核戦力(INF)全廃条約のため、核弾頭の搭載・非搭載にかかわらず、射程500~5500キロの中距離ミサイルを保有してこなかったが、2019年に同条約が失効し、中距離ミサイルの開発・配備の動きを本格化させていた。新たに地上発射型中距離ミサイルが配備されれば、1987年のINF条約締結以来初めてとなる。中距離ミサイル配備をどのように展望し、中国軍の能力や動きをどう見ているのか、米太平洋陸軍のチャールズ・フリン司令官(陸軍大将)が3日、朝日新聞など一部メディアに語った主な発言は、次の通り。

 ――米陸軍は新たな中距離ミサイルシステム「Typhon(タイフォン)」を開発し、配備の段階だと言われています。アジア太平洋地域に展開する可能性についてうかがいます。

 「どこに、いつ配備するかについては言えないが、2024年には配備される。米陸軍の持つ長距離精密射撃能力には、複数のシステムがある。高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」で運用する(対艦攻撃可能な)「PrSM(プリズム:Precision Strike Missile)」が開発段階にある。既存のシステムである誘導型多連装ロケットシステム「GMLRS」や、短距離弾道ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」、そして対艦攻撃能力のない現在のHIMARSも保有している。Typhonは、巡航ミサイル「トマホーク」と迎撃ミサイル「SM6」を搭載でき、現在2基が運用可能な状態にある」

 「中距離(射撃)能力を持つ発射装置は配備段階にあり、地域の同盟国やパートナーと協力し、間もなく、この(アジア太平洋)地域に配備される。もう1点、重要なのは日米の協力だ。陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾を運用する部隊が先日、沖縄に発足し、2、3年前には、(米陸軍の)HIMARSと陸自の12式地対艦誘導弾による共同訓練を行った。米太平洋陸軍と陸上自衛隊による相互運用性と統合の非常によい実例で、日米が、射撃管制システムやシステム構成の相互運用をテストする最高のイベントだった。これらは、(日米)同盟にとって、地域の陸軍が協力して行う任務にとって、非常に重要なステップだ」

 ――今月行われる日米首脳会談では、日米の指揮統制の連携が確認される見通しです。合意された場合、米太平洋陸軍と在日米軍にどのような影響があるのでしょうか。

 「この10年間で、日本で毎…

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この記事を書いた人
佐藤武嗣
編集委員|外交・安全保障担当
専門・関心分野
外交、安全保障、国際情勢、民主主義、ジャーナリズム