「一刻の猶予もない時限的問題」 北朝鮮拉致被害者・地村さん危機感
「北朝鮮に拉致された日本人を救う福井の会」が14日夜、福井県小浜市内で今年度の総会を開いた。2002年に帰国した拉致被害者の地村保志さん(68)=同市=は「被害者、家族の高齢化によって、一刻の猶予もない時限的な問題になっている」と危機感を訴えた。
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会と支援団体「救う会」は今年2月、被害者の親世代が存命のうちに「全拉致被害者の即時一括帰国」ができれば、日本政府による北朝鮮への人道支援や独自制裁解除に反対しない、とする新たな方針を決めた。
総会では、福井の会会長で地村さんの同級生の森本信二さん(68)が、帰国できていない拉致被害者の親世代で存命中なのが、有本恵子さんの父・明弘さんと横田めぐみさんの母・早紀江さんの2人となっている現状を説明。新たな方針は、北朝鮮との交渉を進めるための決断だと報告した。
地村さんは「私の帰国から進展がなく22年が過ぎようとしている。このままだと悲しい歴史になってしまう不安がある」と訴え、「政府が北朝鮮と交渉せざるを得ない環境を作り上げるために、私も署名や講演会活動に励んでいく」と話した。
総会では、政府への要望活動を強めるほか、11月に越前市で県集会を開くことを決めた。