「家族の一体感」なぜ重視?夫婦の姓めぐる議論、三成美保教授に聞く
結婚する際に夫婦が姓を同じにするか、改姓しないかを選べる「選択的夫婦別姓制度」に関して、香川県議会と県内全ての市町議会で3月までに、制度導入や議論推進を求める意見書が可決された。
地方から声が上がり始めた一方、国会での議論は停滞している。これまでの議論の経緯や見通しを、追手門学院大の三成美保教授(ジェンダー法学)に聞いた。
――選択的夫婦別姓をめぐり、過去には民法改正案が準備されました。
1996年の民法改正要綱ですね。実際に改正案が用意されましたが、与党内の保守系議員から強い反発があったため、国会への提出が見送られました。その後何度も野党が法案を出しましたが、すべて廃案になっています。2010年にも改正案がまとめられましたが、成立しませんでした。
現在の制度をめぐる議論の状況も、当時からほぼ変わりません。リベラルと保守の対立だけで語るべきではありませんが、「家族の一体感」を重視し、夫婦同姓をその象徴とする考えは、やはり旧来の価値観を持つ人々に見られるものです。
なぜ、日本では国際社会の潮流に乗り遅れたのか。選択的夫婦別姓の議論で主張される「家族の一体感」や、別姓の当事者の子どもへの影響などについて聞きました。
――80、90年代は国際的…