中学生がトレランコース整備で生態系守る大切さ学ぶ 十日町市

白石和之
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 使われなくなった古道を走るトレイルランニング「越後まつだい春の陣」の第2回大会が6月2日、新潟県十日町市で開かれる。コース整備には地元の松代中学の生徒たちが携わる。道の整備とともに、里山の生態系を守ることの大切さも学ぼうと、生徒たちは古道の落ち葉や枝を拾い集めるなどして、堆肥(たいひ)づくりに取り組んだ。

 市内の松代地区から松之山地区に抜ける古道では今月、同校の3年生24人が熊手やフォークを使い、道を埋めていた落ち葉や枝を拾い集めて2メートル四方の枠の中に積み上げた。積まれた落ち葉などの中では、昆虫たちが卵を産み、多様な生き物のすみかになる。こうした仕掛けは「エコスタック」と呼ばれ、ゆくゆくは堆肥として使うこともできるという。

 自然の大切さや地元の良さの再発見を目的にした総合学習の一環で、今回から同校の全校生徒約50人が大会当日の運営や事前準備などに加わることになった。事前に授業でエコスタックの重要性などを学んだ3年生の一人で、スタックを作るためのくい打ちなどをした横尾夏稀さんは「大変だったけど、道がきれいになって良かった。松代にいる貴重な生き物たちを次の世代につなげていきたい」と話した。

 古道の脇の田んぼで稲作をしている高橋勉さん(73)によると、以前は重要な生活道路で、田んぼに通うのにも使われていたが、稲作をやめる人が増え、道を通る人もいなくなってきたという。「トレイルランニングの大会ができて、道をきれいにしてもらい、ありがたい」と喜んだ。

 1、2年生もエコスタック作りを体験。大会当日には開会式の司会やたいこの演奏、参加者の応援などに全校生徒で携わる。

 大会は、地域おこし協力隊として松代地区で活動する東京都出身の新坂志保里さん(37)が住民にも忘れ去られ、荒れてしまった古道が多くあることを知ったのがきっかけ。「古道は使われていた当時の暮らしや文化が息づいている資産だ」と活用を思い立ち、昨年初めて実施した。昨年は約300人が参加、今年も同様の規模で計画しているという。

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