高齢者は70歳から? 年金は、仕事は…諮問会議の提言に賛否渦巻く
政府の経済財政諮問会議で、民間の有識者議員が「高齢者の定義を5歳延ばすこと」を検討するように提言した。「高齢者」は70歳からになるのか? 年金は? 専門家や市民の受け止めを聞いた。
「生涯活躍社会の実現」
23日の会議で、民間議員として出席した4人が、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)の高い社会の実現に向け、提言をした。
民間議員の4人
十倉雅和・住友化学会長▽中空麻奈・BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長▽新浪剛史・サントリーホールディングス社長▽柳川範之・東京大大学院経済学研究科教授。
内閣府が作成した資料によると、2030年代になると、日本の生産年齢人口(15~64歳)の減少は加速。「健康で意欲ある65~74歳の活躍」「生涯活躍社会の実現」が重要になるとする。
民間議員らは、健康寿命が延びる中で高齢者の定義を5歳延長することを検討するとともに、生産性を向上させるため、全世代のリスキリング(学び直し)について議論するように、政府に求めた。
「高齢者」について、政府内に一律の定義はない。ただ、65歳以上を高齢者として高齢化率を算出。老齢基礎年金を受け取れ、介護保険サービスを利用できる年齢は「身体的変化が表れるとみなされる」(厚生労働省)ことから、原則として65歳以上だ。地方自治体でも配食や移動支援、見守りなど高齢者サービスは65歳以上向けのことが多い。
仮に政府が高齢者の位置づけを見直せば、これらの対象も70歳以上となる可能性が出てくる。
年金の後ろ倒しとセット?
「定年後」の著書がある神戸松蔭女子学院大元教授の楠木新さんは「働く意欲がある65歳以上が活躍できる社会をつくることだけが目的なら、わざわざ高齢者の定義を変える必要はない。提言の真の狙いは何か、注視する必要がある」と言う。
「これまでも公的年金の受給…