迷惑行為の「撮り鉄」に悩む銚子電鉄 でも厳しくできない台所事情

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熊谷姿慧 鈴木逸弘
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 海風を感じながら、牧歌的な風景を楽しめると全国の鉄道ファンに人気の銚子電鉄千葉県銚子市)が、一部ファンの迷惑行為に悩んでいる。線路内で運行中の車両を撮影したり、鉄道標識を無断で撤去したり。電鉄側は警察に相談するが、厳重な対策を取りにくい事情があるという。

 「撮影マナーをなぜ守っていただけないのでしょうか」

 「他の方に迷惑がかかることを看過できないため、誠に遺憾ですが警察と連携し、取り締まりを強化せざるをえません」

 銚子電鉄は4月、自社のSNSアカウントにこんな切実なメッセージを投稿した。3月ごろから、「撮り鉄」とみられるファンが線路内に立ち入り、安全のために列車を止める事態がたびたび起きていた。

 電鉄や千葉県警銚子署によると、路線上の位置を示す「キロポスト」を抜き取ったり、警告の看板を撤去したりする行為があった。器物損壊や威力業務妨害罪に問われる可能性もある。電鉄の担当者は「キロポストは事故や故障で列車の位置を報告する際に欠かせない」と運行への支障を懸念する。

 線路の近くに住む50代男性は「撮影のために畑に勝手に入ったり、飲みかけのジュースを放置する迷惑行為もあるようだ。マナーを守ってくれれば構わないが、常識をわきまえてほしい」。署は4月以降、沿線のパトロールを強化し、行き過ぎたファンの行動に目を光らせている。

 だが電鉄側には、厳しい対策を打ち出しにくい訳があるという。沿線住民の減少などで、現状で利用客の約8割を観光客が占めているためだ。

 沿線では、首都圏では珍しい…

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