気候正義は非正社員を救えるか パタゴニア雇い止め訴訟
堀篭俊材
アナザーノート 堀篭俊材記者
証言台に立つ姿はいつにもまして、毅然(きぜん)としていた。「会社は従業員を使い捨て、失業者にしています」
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米アウトドアメーカー「パタゴニア」の元パート社員、藤川瑞穂さん(52)の声が法廷に響いた。札幌地裁で6月3日、藤川さんの雇い止めをめぐる裁判の第1回口頭弁論があった。昨年末まで札幌市内の店舗で働いていた藤川さんが職場への復帰などを求めている訴訟だ。
ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らす――。こんなユニークな理念を掲げているパタゴニアに魅力を感じ、藤川さんが入社したのは2019年のことだ。仕事に大きなやりがいを持っていた。
藤川さんが疑問を抱き始めたのは、勤続4年半の同僚が雇い止めになったのがきっかけだ。「自分もやがては……」。そんな不安から、雇用上限の撤回を求めて2年前、労働組合を立ち上げた。
5年超の更新への「期待あった」
有期労働には「無期転換ルール」がある。有期契約の労働者が通算5年を超えて働けば、無期契約に転換できる。13年に改正された労働契約法に盛り込まれた。
藤川さんは入社する際、店長…