日本とフィリピンが急接近 緊張の南シナ海、不測事態の検討乏しく
南シナ海の領有権問題で中国と一触即発の対立が続くフィリピンに対し、日本は安全保障面で急速に関係を深める。8日はマニラで両国の外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が行われ、両国部隊が共同訓練などで行き来しやすくする「円滑化協定」が署名される。だが、南シナ海で不測の事態が起きた場合、日本がどう対応するかなどの検討が十分に行われているとは言い難い。
日本にとってフィリピンとの円滑化協定締結は、「準同盟国」と位置づける豪州、英国に続く3カ国目となる。
日比関係の強化は、欧州や東南アジアの「同志国」との連携強化の一環だ。自衛隊はこれまで米比の共同訓練「バリカタン」にオブザーバーとして加わってきたが、締結後は本格参加も視野に入れる。海上自衛隊と比海軍で交流を深めるための「姉妹部隊」を結ぶことも検討中だ。木原稔防衛相は2日の会見で、フィリピンについて「我が国のシーレーン(海上交通路)の要衝を占め、戦略的に重要な地域に位置する。連携強化は非常に意義が大きい」と強調した。
日本は尖閣諸島のある東シナ海で、フィリピンは南シナ海で中国側の攻勢にさらされている。フィリピンでは2022年、対米関係重視のマルコス政権が発足。対中牽制(けんせい)を念頭に日米豪との安保協力の強化を急いでおり、米国の同盟国・日本との二国間協力も重点目標の一つだ。マルコス大統領やテオドロ国防相らは円滑化協定締結に繰り返し意欲を表明してきた。
日本もフィリピンとの連携を重視し、14年に閣議決定した「防衛装備移転三原則」のもと、唯一の完成品の輸出案件としてフィリピンへの警戒管制レーダーを選んだ。マルコス政権発足は、日比間の距離をさらに縮める好機とみる。
海自は6月16日、米、比…