収入補う?30年前の追徴課税相次ぐ 中国税制改革、3中全会で焦点

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北京=鈴木友里子 北京=井上亮 斎藤徳彦
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 中国共産党は15~18日、経済などの中長期方針を決める党の重要会議「第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)」を北京で開く。不動産不況に端を発する経済の変調や少子高齢化などの構造的な課題の解決につながる改革を打ち出せるかが注目される。

 中国の大手食品会社・維維食品飲料(江蘇省徐州市)が6月上旬に出した公表文が、中国国内で注目を集めた。

 「1994年から2009年の未納分の税金8500万元(約18億7千万円)の追加徴収の通知を受け取った」

 地元税務当局による追徴課税だが、30年もさかのぼった上、金額も大きかったからだ。追徴を求められたのは、2020年末に売却した過去の子会社、老舗酒造会社「湖北枝江酒業」の消費税や都市維持建設税。同社の23年の純利益は約2.1億元で、追徴課税の8500万元はその4割にあたる。

 こうした20~30年前にまでさかのぼった追徴課税が、中国で相次ぐ。鉱物資源開発の「蔵格鉱業」やその傘下企業は今年3月、04年~14年の「増値税」や滞納金計1億9千万元を追徴され、4月にも直近3年分について約4.8億元の支払いを求められた。広東省仏山市のホテルや恵州市の投資会社も20年~25年前の納付不足を指摘されている。政府の課税方針の変更で税負担が増し、資金難に陥ったとして、工場の操業を止めた化学メーカーもある。

 法律では追徴課税は原則3~5年以内だが、悪質な場合などはその限りではない。ただ、今広がる追徴課税は、土地からの収入が不動産不況で激減し、財政難に陥った地方政府が、歳入不足を補うためではないかとの見方がもっぱらだ。

 税務当局は「組織として20~30年前の税務調査を手配しているわけではない」とするが、「地方財政が逼迫(ひっぱく)する中で、税務調査の風はますます大きくなるのではないかと多くの人が心配している」(東南大学の華生教授)といった声がSNSで広がる。

 不動産不況が、なぜ地方政府の財政を直撃するのか。

偏った成長のツケ

習近平指導部は、財政難をどう解決するのでしょうか。記事後半では、3中全会の焦点として取りざたされている、税制改革などに関する観測を紹介します

 中国では土地は基本的に国有…

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この記事を書いた人
鈴木友里子
中国総局|中国経済担当
専門・関心分野
中国経済、日中関係
井上亮
中国総局|政治外交担当
専門・関心分野
中国社会、人口減少、移民