山開き1カ月の富士山、前年上回る6人死亡 弾丸登山は大幅に減少か

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吉沢龍彦
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 通行規制などが新たに導入された富士山の登山シーズンが始まって1カ月を迎える。新システムは現時点では順調だが、遭難も起きており、死亡事例は前年を超えた。

 富士山には四つの登山ルートがある。山梨県側の吉田ルートは7月1日、静岡県側の3ルート(富士宮、須走、御殿場)は10日に山開きをした。登山シーズンはいずれも9月10日までで、お盆にかけてシーズンのピークを迎える。

 両県警が把握する死亡事故は7月30日時点で山梨2人、静岡4人で計6人。昨年は夏山シーズンを通して山梨2人、静岡2人の計4人だった。山梨は昨年に並び、静岡は昨年の2人を超え、全体でも昨年を上回った。

 両県警によると、亡くなった6人はいずれも男性で、年齢は50代後半~70代後半。5人は登山中の発病が死亡につながったとみられる。残り1人は転落が原因とみられる。

 山梨県警は「今シーズンに限らず、富士山での遭難事故の多くは発病が原因で、特に死亡事例の大半は病気によるものだ」と説明する。

救助に向かう隊員の動画を「緊急配信」

 同県警は事故防止に向けて、登山者に高山病や防寒の対策を呼びかける。高山病は脳浮腫や肺水腫を引き起こす可能性もある。寒さについては、「山頂の気温は下界と比べて20度余り。単独峰の富士山では風を遮るものもなく、防寒対策は絶対に必要だ」と強調する。さらに、熱中症や転倒によるけがを防ぐために、服装や装備をしっかり整えるよう求める。

 静岡県警は、今シーズンの死亡事故はいずれも天候の悪い時に起きたと説明する。県警地域課は、暴風雨の中を救助に向かう救助隊員の画像をX(旧ツイッター、@SP_chiiki)で「緊急配信」した。強風のため立ち上がれず、ひざをついている場面とともに、「登山前に必ず天気予報を確認。暴風雨予報なら中止を」と注意を促す。

記事後半では、今年の山登り直後に富士山に登った筆者が山の魅力や今年の様子、初心者向けの登山のポイントを動画で解説します。

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この記事を書いた人
吉沢龍彦
ネットワーク報道本部
専門・関心分野
教育、子育て、選挙、地方自治、日本近現代史、くらし、まちづくり、登山