第3回もうけ優先「そんなに甘くない」重度障害者集まるGHの代表に聞く
障害者グループホーム(GH)の入居者から実費より約3億円多い食材費を集める「経済的虐待」などをしたとして、GH運営会社の株式会社「恵」(東京都港区)が6月、愛知県などから一部GHの指定取り消しという、最も重い行政処分を受けた。
質の高いサービスと安定した経営は、両立できるのか。全国から、ほかの施設で支援が困難とされた重度の障害者を受け入れている「株式会社ふくしねっと工房」(千葉県船橋市)の友野剛行代表取締役(55)に聞いた。
――「恵」の問題が映し出したのは、「もうけ」を追求するあまり、障害者を置き去りにしたサービスの実態です。GHをはじめとした障害福祉の現場では何が起きているのでしょうか
「障害福祉はもうかる」と聞きつけた人から、事業の立ち上げの相談が増えています。しかし、人の命を預かり事業を続けていくことは、そんなに甘くありません。
我々も株式会社として障害福祉事業を展開していますが、その理由は「スピード」を重視しているからです。評議会や理事会での裁決が必要な社会福祉法人は意思決定に時間がかかる。目の前に困っている人がいたら、受け入れ、今必要な支援を即座に実践する上では、株式会社という形態にメリットがあると思っています。
障害福祉は、まだまだ事業者が優位な売り手市場です。選択肢が少ないがゆえに、利用者が事業者に頭を下げる関係性が存在しています。
利用者一人ひとりが、どんな人で、どんな家族の元で育ったのか。利用者に思いをはせず、お金もうけの手段だと考える事業所では虐待が起こる可能性が高くなります。
株式会社などの営利法人の参入で、GHの数が増えていくこと自体は否定しません。障害者にとって、生活する場の選択肢が増えるからです。思いをもって障害福祉に携わる営利法人もある一方で、「障害福祉はもうかる」という安易な考えで参入する会社も増えてしまっていることを危惧しています。
――GHの数は今年2月時点で全国に1万3512カ所と、10年で2倍近くに増えています。営利法人の参入が相次ぐのはなぜでしょうか。
2018年、GHの中でも国側から得る基本報酬が他の類型より高い、「日中サービス支援型」が生まれ、参入が増えました。
昼夜問わず支援が必要な高齢…