古谷経衡さんの「岩盤保守」考 「分裂」と日本保守党結党、その先は

有料記事

女屋泰之
[PR]

 作家の百田尚樹氏を代表とする政治団体「日本保守党」が昨年9月に発足した。「岩盤保守」と呼ばれる層の結束を示すように捉える向きもある中で、作家の古谷経衡さん(41)は、むしろ岩盤保守内部の分裂があって結党につながったと分析する。雑誌「地平」8月号の論考「日本保守党の研究」で、古谷さんは岩盤保守の分裂の経緯を書く。

 今年4月の衆院東京15区補欠選挙に立候補した日本保守党の飯山陽(あかり)氏は9人中4位の得票だった。小池百合子東京都知事の支援を受けた乙武洋匡氏を上回り、善戦という評価もあった。同党のX(旧ツイッター)公式アカウントのフォロワー数は7月末時点で32万超と自民党をも上回る。

 古谷さんは、保守層の中でも排外的主張など極端な論調をとる人たちを「岩盤保守」と呼ぶ。かつて保守系の媒体で主に活動した時期があり内情を知る古谷さんが、岩盤保守の近年の動向を読み解くのがこの論考だ。

 昨年の日本保守党の結党宣言では、岸田文雄政権が立法化を進めたLGBT理解増進法に「祖国への無理解」がみられるとして憂え、「断固として日本を守る」ための勢力が必要と訴える。現政権への反発から、伝統的な家族観を重んじる岩盤保守が結集した――そう考えればわかりやすいが、古谷さんによれば岩盤保守では2020年末に「大分裂」があり、飯山氏の選挙でも保守票を固められたわけではないとみる。

 歴代最長政権となった第2次安倍晋三政権時代は、岩盤保守は政権を支持することでおおむね統制が取れていた。

 しかし、同年9月の安倍首相退陣が変調につながる。そして同年11月の米大統領選後、敗れたトランプ氏が言う「不正選挙」を信じるかどうかで決定的な分裂が起きたと古谷さんは分析する。

 当時、岩盤保守に大きな影響…

この記事は有料記事です。残り763文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません