トイレに閉じ込められ長時間立たされPTSD、女児が保育園など提訴

中川史
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 松江市認可の「しらゆり千鳥保育園」(同市北田町)の保育士に児童虐待を受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症するなどしたとして、女児(8)が保育士と園を運営する社会福祉法人「しらゆり会」(国頭正治理事長)に損害賠償など約430万円を求める訴えを松江地裁に起こした。提訴は3日付。

 訴状などによると、女児は2018年4月に入園。年中、年長クラスのとき、主任保育士からトイレに閉じ込められたり、園庭や2階テラス、廊下などで長時間立たせられたり、他の園児の前で失敗したことを糾弾されたりしたという。その後、登園できなくなり、別の保育園に転園した。

 その後も大人に恐怖心や拒否感を持ち、パニック状態や摂食障害の症状も出て小学校も通えなくなったという。今年1月には医療機関でPTSDと診断された。

 女児の両親が法定代理人として5日、松江市内で記者会見を開いた。父親は「未成熟な子が、恐怖を感じるほど追い詰める保育園での虐待は、子どもの権利条約にも反する」。母親は「娘とは、『つらい気持ちを保育士に伝える』と約束した。司法の場で娘の思いを知ってほしい」と訴えた。

 両親は会見で、市は21年12月に園を監査し、保育士が女児をトイレに閉じ込めて叱ったり、立たせたりしていた事実を確認していると明らかにした。にもかかわらず、女児側はしらゆり会に説明や話し合いを求めてもかなわないことから、提訴に踏みきったという。

 しらゆり会は「市の監査や法人の内部調査で、原告を含め園児に対する虐待の事実は確認されなかった。事実無根で極めて遺憾。法人の名誉や信用を損なわせる主張で到底承服しかねる」とのコメントを発表した。

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