なぜか返ってきた!「消えた郵便貯金」 母からの小遣い、理由は不明
藤田知也
「郵便貯金払戻請求書(権利消滅)に対するご回答」。そう題した文書が青森県十和田市の自宅に届いたのは、5月の連休が明けた頃。差出人は、民営化前の郵便貯金の一部を管理する郵政管理・支援機構だ。
「どうせ返ってこねーべ」と突き放す26歳の息子の前で、看護師の女性(57)が封を開いて文面を読み始めた。
「当該郵便貯金は、請求書の内容に基づき確認した結果、真にやむを得ない事情があったと確認した。なお、当該の郵便貯金の払戻金は指定の口座に送金したので、ご確認ください」
え? 文章を理解するのにややあってから、息子と手を取り合って「やった!」「戻ってくる!」と跳びはねた。
郵便局で記帳すると、「ケンリショウメツシハライ」との費目で81万9948円が振り込まれていた。三十数年前に母から手渡された小遣いが戻ってきた瞬間だった。
ありがたい半面、釈然としない思いも残る。長く返金を拒まれながら、今回はなぜ戻ってきたのか――。
新車のタントをあきらめて
20代前半だった1990年…