「能登の被災地の怒り、結果に」与党過半数割れ、有権者の思いは
27日投開票の衆院選で自民と公明の与党は過半数割れの大敗を喫した。各地の有権者はどんな思いで投票し、これからの政治に何を願うのか。
石川県・能登半島が選挙区の石川3区では、立憲前職が自民前職を破り、2009年以来の自民以外の勝利となった。
「被災地の共通の怒りが結果に表れたのでは」と話すのは、輪島市・南志見地区の大向稔さん(81)。
元日の地震でも9月の豪雨でも地区は孤立。地震で持ちこたえた自宅に、豪雨では濁流が迫り、別棟の倉庫や事務所に泥がなだれ込んだ。
就任直後に衆院を解散し、総選挙に打って出た石破茂首相に対し、「せめて予算委員会を経て、支援を固めてから選挙をするべきだった。自民党の党利党略だ」と感じた。「地震と豪雨でダウン寸前のフラフラになっていた能登に対し、この時期の選挙はアッパーカットのようなものだった」
大向さんは、能登半島地震の復旧・復興をめぐる国の審議会の分科会で「集約的なまちづくりの検討」に言及されたことが気にかかる。今後の政治には「被災者、住民の意見も聞かずにコンパクトシティーが進められるようなことがないか」と懸念する。
輪島市の七浦地区区長会で会長を務める伏見孝一さん(75)は自民前職に投票した。「復旧・復興を早くしてほしい、従来のまちの姿が戻ってほしいとの期待も込めた」といい、野党には政策の実行力に疑問があったという。
与党の大敗という結果には、「逆によかったんじゃないか」とも思う。「自民と少し対等になった立憲には、政権のおしりをたたくような役割」を期待するという。
政権の枠組み次第では、国会で法案が通りにくい状況も生まれる可能性があるが、「復興や支援を止めるような党があってみろ、みんなが見ているんだ」。
今回の衆院選では、自民の裏金問題が結果に大きく影響した。自身の生活と照らし合わせて投票行動を決めた人も多い。