タクシー「脱炭素」へ加速 エムケイ、100円上乗せで環境配慮へ

日比野容子
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 タクシー大手のエムケイ(京都市南区)が「脱炭素」の取り組みを進めている。貸し切りタクシーやハイヤーの利用料金に100円を上乗せすることで、温室効果ガスの排出量削減に貢献できるカーボンオフセットの仕組みを12月から導入する。2030年までには、すべての車両を環境に優しい「ゼロ・エミッション車」にする方針だ。

 カーボンオフセットの対象となるのは、同社が保有する182台の電気自動車だ。同社によると、ガソリン車を電気自動車に切り替えることで、走ったときの二酸化炭素排出量を6割減らせるという。しかし、電気自動車を充電する電力を発電する際にも二酸化炭素が出るため、電気自動車へ切り替えただけでは、実質排出量ゼロを目指すカーボンニュートラルの取り組みとしては不十分だ。

 そこで、希望する客には利用料金に100円を上乗せして支払ってもらい、その資金を元手に、同社が東証カーボン・クレジット市場で二酸化炭素排出枠を買い、環境への負荷を減らす。事業開始に備え、すでに20トン分の排出枠を買ったという。

 貸し切り料金はタクシーで3時間2万650円から、ハイヤーは同4万6千円から。予約時に申し込む。主に企業・法人の利用を見込むほか、環境問題への意識の高いヨーロッパを中心とした外国人観光客の需要も想定している。当面は京都府内で走らせ、将来的には関西空港伊丹空港の送迎や滋賀県にも広げたい考えだ。

 電気自動車や燃料電池車など温室効果ガスを出さない「ゼロ・エミッション車」への切り替えも進める。3月の導入状況は全車両の22%にあたる182台で、来年3月には240台に増やす。

 エムケイホールディングスの青木信明社長は「これからは持続可能性を重視するサステイナブル・ツーリズムの時代だ。脱炭素への積極的な取り組みは、数あるタクシー会社の中からエムケイを選んでもらう決め手の一つになる」と話す。

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この記事を書いた人
日比野容子
京都総局
専門・関心分野
オーバーツーリズム、歴史文化、医療・介護、クラシック音楽、スキー、料理、欧州事情など