北方領土交渉「2島ならすぐできる」 新資料が示す安倍政権の失敗

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駒木明義
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 みなさん、こんにちは。安倍晋三元首相がプーチン大統領を相手に取り組んだ日ロ平和条約交渉については、これまで何度かこのニュースレターで取り上げました。平和条約の核心部分となる北方領土問題で、安倍氏は従来の4島返還の旗を降ろし、歯舞、色丹のみをロシアに要求する2島路線に踏み切りました。この経緯をめぐって先日、新しい重要な資料が世に出ました。それは、朝日新聞主筆を務めたジャーナリスト船橋洋一氏が安倍政権の検証に取り組んだ新著「宿命の子」です。

 上下2巻の大部の検証本の中で、安倍氏の対ロ交渉を取り上げているのは、下巻冒頭の第11章「プーチン」です。

 まず端的に、私が最も驚いた部分をご紹介しましょう。それは2018年11月、当時の河野太郎外相の発言です。元官邸スタッフの証言によると、シンガポールの首脳会談でプーチン氏に2島による決着を提案したことを安倍氏から聞かされた河野氏は、自信たっぷりに次のように語ったといいます。

 「2島ならすぐできますよ」…

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この記事を書いた人
駒木明義
論説委員|国際社説担当
専門・関心分野
ロシア、国際関係、外交