被災地の限界集落を「現代集落」へ 先端技術活用し水や電気を自給

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上田真由美
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 能登半島地震や豪雨では、多くの集落が孤立した。もし孤立しても、集落の中でエネルギーも含めた生産と消費を循環させられたら――。震災前から、石川県珠洲市で「地域資源循環型社会」の実験をしてきた林俊伍さん(37)は「30年かかって起こることが、たった10分で起きてしまった。だからこそ、手をゆるめるというより、むしろアクセルを踏んでいます」と話す。

 林さんは東京での商社勤務や名古屋で高校の物理教員を経て、2016年に生まれ育った金沢市にUターン。夫婦で特色ある貸し切り宿やゲストハウスを運営する「こみんぐる」を経営してきた。20年には、大好きな能登での暮らしも求めて珠洲市の西端の小さな集落、真浦町の古民家を購入した。そこで金沢との2拠点生活をしながら、仲間たちと始めたのが「現代集落」の取り組みだ。

 キャッチフレーズは、「限界集落を現代集落へ」。建築士や風景設計のデザイナーといった仲間たちと、海も山も沢もある真浦町の自然の恵みをいかした無農薬無肥料の自家菜園をするなど、集落内で生産と消費のバランスがとれる暮らしを目指した。

 単に昔ながらの暮らしに戻るということではなく、むしろ先端技術を積極的に活用する。50人ほどのメンバーが日ごろからオンラインで相談を重ね、太陽光パネルや小型の風力発電設備を試行したり、真空管を利用した太陽熱温水器も設置したり。古民家を宿泊できるように整えて外部から体験する参加者を募るイベントも開いてきた。「新たな投資のために『外貨』を稼ぐ手段であり、仲間を増やすための手段でもあります」

 そんな中で起きた、元日の地…

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この記事を書いた人
上田真由美
金沢総局|能登駐在
専門・関心分野
民主主義、人口減少、日記など市井の記録を残す営み
能登半島地震(2024年)

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