「がん診断で絶望」心のケアが必要な患者のために 広がる新たな対策

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松本千聖
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 がんになり、心に大きなストレスを受ける人は少なくありません。時に、気持ちのつらさが長引き、自ら回復していくことが難しくなることも。近年、そうした精神的な影響からがん患者を守る取り組みが始まっています。

 「絶望していて、いま一番死にたい気持ち」

 埼玉県日高市にある、埼玉医科大学国際医療センター。初診で訪れた60代のがん患者の女性は、看護師にそう話して涙を流した。

 がん診断後に「死にたい」と訴える患者は少なくないという。同センターでは、患者全員に初診や再診、入院の際、精神状態を尋ね、自殺のリスクがないかを調べるスクリーニングを試みている。

 この女性は肝臓に転移した直腸がんが見つかり転院してきた。初診時、看護師との面談の中で「ハイリスク」と判断された。その後、精神的な課題を抱えた患者に多職種で対応する「精神科リエゾンチーム」が診察し、うつ病と診断された。抗うつ薬の投与が始まり、数日後には睡眠がとれるようになり、表情も穏やかに。予定していた、手術と抗がん剤治療に進むことができた。

がん患者の自殺リスク 診断後2年で1.8倍

 切迫した対応が必要な患者に…

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この記事を書いた人
松本千聖
くらし報道部
専門・関心分野
医療、子どもや女性の健康、子育て