賃上げ・定額減税の「手取り増」効果は 7~9月期GDP、成長鈍化

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内藤尚志
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 7~9月期の実質GDPは、直前の四半期より年率換算で0.9%増えたが、4~6月期(年率2.2%増)から伸びは鈍化した。賃上げと定額減税をテコに力強い成長へと移行する政府のシナリオが、思惑どおりに進んでいないことも示唆している。

 政府は足元の物価高の潮流を「デフレから完全に脱却する千載一遇の歴史的チャンス」(岸田文雄前首相)ととらえ、経済成長の呼び水にしようとした。めざしたのは、物価と賃金がともに上がり続ける「好循環」だ。

 大企業による下請けたたきがないか監視を強め、中小企業での値上げと、そのもうけを使った賃上げを後押しした。政府・労働組合・経済界の代表が集まって賃上げ策を議論する「政労使会議」も復活させた。物価の伸びに賃上げが追いつくまでは家計の支援も必要だとして、バラマキ色の濃いガソリン代と電気・ガス料金の補助にも踏み出した。

 その取り組みの集大成が、昨…

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この記事を書いた人
内藤尚志
経済部
専門・関心分野
雇用・労働、企業統治(ガバナンス)、経済政策